アジア最南端の中東諸国の世界遺産
「世界には色々な場所がありますね。」
「そうですね。」
「中でも特に目を引く、オリジナリティーのあふれる世界遺産は、世界遺産の一覧リストを眺めるだけでも分かりますね。」
「はい。」
「やはり、文明と文明の境界、大陸と大陸の境界、大洋と大陸の接点など、何かの異なる2つの要素がぶつかりあうエリアに集中していますね。」
「そうなんだ。」
「アジアの最西端、中東の世界遺産は面白いですが、世界中を見回して、最も変化に富んだエリアは、恐らくアジアの最西端、中東ですね。」
「そうなんですか。」
「その理由は、色々とありますよ。」
「どういうことですか。」
「あらゆる宗教が影響力を均衡させているエリアですね。」
「はい。」
「地理的に見ても、カスピ海、黒海、地中海、紅海、インド洋などの水辺が、大陸と複雑な形で入り乱れているエリアだからですね。」
「そうなんだ。」
「カスピ海と言えば、中央アジアと東ヨーロッパの境界にある塩湖である。世界最大の湖である。カスピの名は古代に南西岸にいたカス族あるいはカスピ族に由来する。」
「人の肌の色も異なり、目の色も異なり、身体的特徴、食文化も混在しているエリアが、アジアの最西端、中東ですね。」
「なるほど。」
「当然、世界遺産の内容もバラエティーに富んでいますよ。」
「はい。」
「砂漠の真ん中に立つ摩天楼から、湖畔に描かれた壮大な岩絵まで多種多様ですよ。」
「はい。」
「治安の問題もあり、日本人が何の勉強もしないまま足を踏み入れる場所ではありませんよ。」
「そうなんですか。」
「しかし、しっかりと対策を取った上で世界遺産巡りをすれば、最も楽しめるエリアの1つが、アジアの最西端、中東だと言えますね。」
「わかりました。」
「世界遺産の内容は、多種多様ですが、アジアの最西端と言っても、その文化は多種多様ですね。」
「はい。」
「当然、世界遺産の内容もバラエティーが豊富にありますよ。」
「はい。」
「簡単には理解を許さない多様性がありますよ。」
「そうなんだ。」
「その複雑さが、アジア最西端にある世界遺産の魅力とも言えますね。」
「はい。」
「カスピ海の沿岸にあるアゼルバイジャンには、城塞都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、乙女の塔など、文化的な世界遺産がありますよ。」
「そうなんだ。」
「乙女の塔と言えば、アゼルバイジャン共和国の首都バクーの旧市街(イチェリシャハル)にある塔である。12世紀に城壁の一部として建造。高さ約30メートル。望まない結婚を押しつけられた王女が身を投げたという伝説が残っている。」
「シルヴァンシャー宮殿と言えば、アゼルバイジャン共和国の首都バクーの旧市街にある宮殿である。14世紀から15世紀にかけて、この地を治めていたシルバン朝のシルバンシャフハーン一族により建造。イスラム寺院、尖塔、霊廟などが残っている。」
「城塞都市バクーと言えば、固有の文化だけでなく支配を受けたアラブ、イラン、ロシアなどの影響が色濃く残る街並みや建造物が見られる城塞都市。城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔は、アゼルバイジャンの首都バクーの歴史的建造物に設定されたユネスコの世界遺産(文化遺産)である。アゼルバイジャンにおいて国内最初の世界遺産。」
「アゼルバイジャンと言えば、アゼルバイジャン共和国、通称アゼルバイジャンは、コーカサス地方に位置する旧ソビエト連邦の共和制国家である。北はロシア、北西はグルジア、西はアルメニア、南はイランと国境を接し、東はカスピ海に面する。」
「コブスタンの岩絵のように、考古学的な価値のある世界遺産もありますよ。」
「はい。」
「アゼルバイジャン西部にあるコブスタンという山岳地域と言えば、この地域に見られる数々の岩絵は、コーカサスにおける先史時代の生活の魅力的な姿を伝えている。地球に700ある泥火山のうち、400がコブスタンとカスピ海にあると見積もられているcite_note-3。」
「紛争の耐えない、地中海に面しているレバノンには、バールベックのようなローマ帝国の影響下が残る世界遺産、ビブロス、ティルスのように地中海文明の影響が残る古代都市の世界遺産など、ヨーロッパ文明の影響が大きい世界遺産がありますよ。」
「そうなんですか。」
「地中海文明と言えば、一般的に「ギリシア文明+ローマ文明=地中海文明」と言えます。古代地中海文明(ギリシャ・トルコの西海岸)は、森林資源に依存した文明であった。 文明の経済的基盤を支えた貿易には船が必需品で、材料は全て木であった。輸出する青銅製品や陶器を作るため、燃料の材木が必要であった。」
「ティルスと言えば、レバノンの南西部、地中海に面する都市遺跡である。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された史跡でもある。」
「ビブロスと言えば、レバノンの首都であるベイルートの北方約30kmにある地中海沿岸の都市である。古代にはフェニキア人の都市として栄えた。」
「バールベックと言えば、レバノンの東部、ベイルートの北東約85km、ベカー高原の中央にある古代遺跡である。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。バールベックとは「ベカー高原の主神」を意味し、ここにフェニキアの神ハダド(バアル)が祀られていた事に由来するといわれ、本来はフェニキア系の神々の聖地だったと考えられる。」
「レバノンと言えば、レバノン共和国、通称レバノンは、西アジア・中東に位置する共和制国家である。北から東にかけてシリアと、南にイスラエルと隣接し、西は地中海に面している。首都はベイルート。」
「多様な文明が入り乱れるイスラエルも、我々になじみのないイスラム教、ユダヤ教、キリスト教に由来した世界遺産が混在していますよ。」
「はい。」
「シナイ半島の最先端にあり、インド洋に面しているイエメンも、ソコトラ群島のような独自の自然景観を持つ世界遺産を持っていますよ。」
「はい。」
「シナイ半島と言えば、西アジアのアラビア半島とアフリカ大陸北東部の間にある半島である。北は地中海、南は紅海、東はアカバ湾、西はスエズ湾にそれぞれ面している。南へ向けた三角形の形状をしており、先端はムハンマド岬。南部にはシナイ山がある。」
「一方では、砂漠のど真ん中に高層建築の建ち並ぶ、砂漠の摩天楼と呼ばれる世界遺産も持っていますよ。」
「そうなんですか。」
「こうした国々は我々と同じアジアでありながら、他の文化圏に接しているので、独自の世界ができあがっていますよ。」
「そうなんだ。」
「世界遺産の内容も本当に多種多様で、我々の理解を簡単に許さない懐の深さがありますね。」
「わかりました。」
「アジア最西端に旅行をするなら、命がけで勉強をしようということですが、アジア最西端の世界遺産に足を運ぶなら、生半可な勉強ではかえってケガをしますよ。」
「どういうことですか?」
「治安も良いとは言えませんよ。」
「そうですね。」
「たえず、紛争が勃発しているエリアですよ。」
「危ないですね。」
「多様な文化、宗教、風習、歴史が入り乱れ、無知がゆえにタブーを犯せば、極端な話、二度と日本に帰れないかも知れませんよ。」
「そうなんだ。」
「もちろん、それほどの事態はツアー観光に参加している限り、ほとんど起きませんよ。」
「本当ですか?」
「しかし、念には念を入れて、損はありませんよ。」
「そうですね。」
「予習をせずに、未知の文化をそのまま受け入れるという楽しみ方もありますよ。」
「そうなんだ。」
「中東の世界遺産を巡るなら、滞在時の注意点も含めて、綿密に勉強をした方が良いですよ。」
「わかりました。」
「アジア最西端の世界遺産は魅力的ですよ。」
「はい。」
「その魅力をじかに確かめたいと思えば、必ず勉強をしてから出向いてくださいね。」
「わかりました。」
「敬意を持って、異文化のど真ん中に足を踏み入れましょう。」
「はい。」
「そこも1つのアジアですが、全く違ったアジアが待っていますよ。」
「そうなんだ。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~アゼルバイジャンの城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔~
「皆さんは、「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」という世界遺産をご存じですか?」
「いいえ、知りません。」
「乙女の塔と言えば、アゼルバイジャン共和国の首都バクーの旧市街(イチェリシャハル)にある塔である。12世紀に城壁の一部として建造。高さ約30メートル。望まない結婚を押しつけられた王女が身を投げたという伝説が残っている。」
「シルヴァンシャー宮殿と言えば、アゼルバイジャン共和国の首都バクーの旧市街にある宮殿である。14世紀から15世紀にかけて、この地を治めていたシルバン朝のシルバンシャフハーン一族により建造。イスラム寺院、尖塔、霊廟などが残っている。」
「「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」は、2000年にユネスコの世界遺産に指定され文化遺産ですよ。」
「はい。」
「この世界遺産は、深い歴史の残る街の「バクー」という旧市街の地域一帯を包括しているスポットとして、知られていますね。」
「そうなんですか。」
「「そもそも、バクーってどこにある街?そんな街の名前初めて聞いたけど…」と戸惑われる方もいるかと思われますね。」
「そうだと思います。」
「実は、この「バクー」という街は、カスピ海沿岸にある都市で、アゼルバイジャン共和国の中の世界遺産ですよ。」
「そうなんだ。」
「アゼルバイジャンと言えば、アゼルバイジャン共和国、通称アゼルバイジャンは、コーカサス地方に位置する旧ソビエト連邦の共和制国家である。北はロシア、北西はグルジア、西はアルメニア、南はイランと国境を接し、東はカスピ海に面する。」
「カスピ海と言えば、中央アジアと東ヨーロッパの境界にある塩湖である。世界最大の湖である。カスピの名は古代に南西岸にいたカス族あるいはカスピ族に由来する。」
「アゼルバイジャン共和国という国自体が、日本人にほとんどなじみがありませんね。」
「そうですね。」
「当然、知らない方が多いと思われますね。」
「はい。」
「この世界遺産は、アゼルバイジャン共和国を代表する世界遺産ですよ。」
「そうなんですか。」
「アゼルバイジャンの文化が気になる方には、是非知っておいてほしいですね。」
「はい、わかりました。」
「この「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」という世界遺産は、ただ一カ所を保存した世界遺産ではないスポットですよ。」
「はい。」
「この世界遺産は、「城壁都市バクー」というスポットと、「シルヴァンシャー宮殿」という宮殿と、不思議な伝説の残る「乙女の塔」という塔を包括していますよ。」
「はい。」
「三カ所ものスポットを、一つの世界遺産としてまとめていますよ。」
「そうなんだ。」
「やはり、気になるのが「乙女の塔」の存在ではないでしょうか。」
「そうですね。」
「ロマンチックなものが好きな女性は、乙女の塔という名前を聞くと、メルヘンの世界に出てくるような可愛らしいものをイメージされると思われます。」
「はい。」
「しかし、この乙女の塔は、実際行ってみると、かなり予想とまったく違うロケーションになっていますよ。」
「どういうことですか。」
「なぜなら、乙女の塔は円筒型のビルのような建物であり、決してメルヘンチックな建物ではありませんよ。」
「そうなんだ。」
「「そんなに可愛い名前の世界遺産なら、女性が楽しめるようなスポットであるはず!」と考えて観光する方もずいぶん多いようですよ。」
「そうでしょうね。」
「この世界遺産は、決して女性向けの世界遺産ではありませんよ。」
「どんな世界遺産ですか?」
「綺麗な景観が広がっている世界遺産というわけでもありませんよ。」
「そうなんですか。」
「可愛らしいものが見たい方は、他の世界遺産を観光したほうが良いかも知れませんね。」
「はい。」
「この世界遺産には「シルヴァン・シャー廟」や「セイッド・イェフヤー・バクーヴィー廟」などのお墓や、「ケイグバードのモスク」などの礼拝堂も包括されていますよ。」
「そうなんだ。」
「ケイグバードのモスクと言えば、シルヴァン・シャー宮殿にはシルヴァン・シャー廟やケイグバードのモスクがあります。」
「シルヴァン・シャー廟と言えば、世界遺産に登録された際の正式名称は「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」という長い名称となっています。その名の通り、この保護区は大きく分けて3つの地域に分かれています。まずバクー城壁地区。ここには12世紀のメドレセと呼ばれるイスラム学院や17世紀のゾロアスター寺院などがあります。またシルヴァン・シャー宮殿にはシルヴァン・シャー廟やケイグバードのモスクがあります。」
「乙女の塔以外のスポットを観光したい方は、このような場所を観光しましょう。」
「わかりました。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~アゼルバイジャンのコブスタンの岩絵の文化的景観~
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」は、アゼルバイジャンにある世界遺産ですよ。」
「はい。」
「アゼルバイジャン西部にあるコブスタンという山岳地域と言えば、この地域に見られる数々の岩絵は、コーカサスにおける先史時代の生活の魅力的な姿を伝えている。地球に700ある泥火山のうち、400がコブスタンとカスピ海にあると見積もられている。」
「アゼルバイジャンと言えば、アゼルバイジャン共和国、通称アゼルバイジャンは、コーカサス地方に位置する旧ソビエト連邦の共和制国家である。北はロシア、北西はグルジア、西はアルメニア、南はイランと国境を接し、東はカスピ海に面する。」
「アゼルバイジャン西部にあるコブスタンという山岳地域には、コブスタン国立保護区という政府によって指定された国定史跡がありますよ。」
「はい。」
「コブスタン国立保護区と言えば、アゼルバイジャン・コブスタンの西部にある1966年に設定された保護区である。この年に、アゼルバイジャンは、この地の古代の彫刻物群や泥火山を守るために、国定史跡に設定したのである。首都バクー中心部からは40マイル南西にある。2007年にユネスコの世界遺産に登録された(登録名は「コブスタンの岩絵の文化的景観」)。」
「この地域は泥火山の宝庫であるだけでなく、先史時代の岩絵が数多く残されていますよ。」
「そうなんですか。」
「それらの岩絵の考古学的な価値が認められ、国立保護区は2007年に「コブスタンの岩絵の文化的景観」として、ユネスコの世界遺産にも登録されましたよ。」
「はい。」
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」に指定された区域には、6000点以上の岩絵が残されていると言われていますよ。」
「多いですね。」
「あちらこちらに、岩山や大きな岩が転がっていますよ。」
「はい。」
「それらの岩の平面に、棒人間のような簡易な絵が描かれていますよ。」
「はい。」
「数が多いだけあって、絵の題材はさまざまですね。」
「そうなんだ。」
「当時の人間や動物、神様、戦闘の様子、踊っている姿、アシ舟に乗った人々、武器を持った戦士、ラクダの隊商、星辰、レイヨウを狩る姿などがありますよ。」
「いろいろありますね。」
「レイヨウと言えば、レイヨウ(羚羊)またはアンテロープ (Antelope) は、ウシ科の大部分の種を含むグループである。分類学的にはおおよそ、ウシ科からウシ族とヤギ亜科を除いた残りに相当し、ウシ科の約130種のうち約90種が含まれる。」
「星辰と言えば、ほし、星座のことである。星辰崇拝とは、太陽・月・星を、神秘的な力をもつものとして尊びあがめる思想。また、それに伴う儀礼。古代オリエントで盛んだった。」
「ラクダの隊商と言えば、キャラバンとは、ペルシャ語の「カールヴァーン」に由来する言葉で、日本語では「隊商」という訳語が充てられている。キャラバンは商品の輸送中に盗賊団などの略奪、暴行などの危険から集団的に身を守り、商品の安全やいざというときの保険のために、複数の商人や輸送を営む者が共同出資して契約を結ぶことによって組織されていた。輸送に使用される動物はラクダをはじめとして、馬、ラバ、ロバなどがその特性やキャラバンの目的に応じて使い分けられた。」
「アシ舟と言えば、葦(ヨシ)などを束ねて作った舟で,筏(いかだ)の一種とする場合もある。材料は水辺に生える葦に限らず,小枝を使用することがあり,樹皮を丸めたものも用いられる。」
「古いものは、二万年以上昔に描かれた岩絵もあると言われていますよ。」
「本当ですか?」
「先史時代の人々の生活を知ることができる希少な資料ですよ。」
「はい。」
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」には、考古学的にも重要な価値がありますよ。」
「そうなんだ。」
「岩絵の保存状態は、かなりばらつきがありますよ。」
「はい。」
「何が描かれているのかはっきりと見て取れるものもあれば、目を凝らさないと描線が追えないものまでありますよ。」
「そうなんだ。」
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」の岩絵は、あちこちに点在していますよ。」
「はい。」
「岩絵を探しながら歩き、一緒にいる人たちと何が描かれているのか、あれこれ言い合ってみるのも一興かも知れませんね。」
「そうですね。」
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」に指定されている保護区は、多数の泥火山があることでも有名ですよ。」
「はい。」
「泥火山とは、地底深くにある粘土が、地下水やガスなどによって地表に噴出したもののことですね。」
「はい。」
「テレビなどで、泥の溜まりの中からコポコポと空気や水を含んだ泥が沸いているのを見たことがあるかも知れませんね。」
「かも知れません。」
「泥火山は、世界に700ほどしかないと言われていますよ。」
「案外少ないんですね。」
「そのうちの400ほどが、アゼルバイジャンとカスピ海にあると言われていますよ。」
「そうなんだ。」
「カスピ海と言えば、中央アジアと東ヨーロッパの境界にある塩湖である。世界最大の湖である。カスピの名は古代に南西岸にいたカス族あるいはカスピ族に由来する。」
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」では、岩絵だけでなく、なかなか目にすることのできない泥火山を間近で見物することもできますよ。」
「はい。」
「「コブスタンの岩絵の文化的景観」は、世界遺産に指定されアゼルバイジャン最大の観光地の一つですよ。」
「そうなんだ。」
「アゼルバイジャン自体に訪れる観光客が少ないですね。」
「そうなんですか。」
「混雑しているという感じではありませんよ。」
「はい。」
「古代人が残した遺跡の中をゆったりと見て歩くことができるのも、大きな魅力と言えるでしょう。」
「わかりました。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~イエメンのソコトラ群島~
「「ソコトラ群島」は、イエメンの領土であるインド洋に浮かぶ島、ソコトラ島とその周辺の島々ですね。」
「はい。」
「ソコトラ島と言えば、イエメンのハドラマウト県に属するインド洋上の島である。周辺の島と合わせてソコトラ群島やソコトラ諸島などと総称されることも多い。」
「目を疑うほどの奇天烈な植物や珍しい生物などが生息する、異な生態系を有していますよ。」
「そうなんですか。」
「2008年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されましたよ。」
「はい。」
「「ソコトラ群島」の中心を占めるソコトラ島は、アラビア半島イエメンの南方300㎞に位置していますよ。」
「はい。」
「総面積は、約40万ヘクタールですよ。」
「はい。」
「島には平野が少なく、そのほとんどが石灰岩台地と山地で覆われていますよ。」
「そうなんですか。」
「年間降水量は、約250㎜と少なめですよ。」
「はい。」
「このような厳しい自然環境の下で、大陸から隔絶されたこの島では、独自の生態系が育まれましたよ。」
「はい。」
「「ソコトラ群島」には、千を超える固有種(この地にしか生息していない種)が存在すると言われていますよ。」
「そうなんだ。」
「インド洋のガラパゴスと、呼ばれる所以ですね。」
「はい。」
「「ソコトラ群島」の見所はなんといっても、その奇観にありますよ。」
「はい。」
「単に生物学的に珍しいというだけではありませんよ。」
「どういうことですか。」
「見た目からして、トンデモない植物が数多く生息していますよ。」
「本当ですか?」
「異世界やら魔境などと称されるように、「ソコトラ群島」に広がっているのは、もはやSFの世界の風景ですよ。」
「ホントに?」
「数ある固有種の中で最も印象的であり、「ソコトラ群島」の顔とでも言えるものが、“竜血樹”と呼ばれる木ですね。」
「どんな木ですか?」
「“竜血樹”と呼ばれる木と言えば、リュウゼツラン科ドラセナ属に属するいわゆる“竜血樹”、すなわち Dracaena cinnabari やDracaena draco などから採れる樹脂のことである。」
「キノコのような形状をしており、緑の傘を毛細血管のように広がった不気味な枝が下から支えていますよ。」
「そうなんだ。」
「竜血樹が何本も並んだ姿は、まるで巨大なキノコが生息する異星の光景のようですよ。」
「はい。」
「他にも、大地から生える白い蚯蚓のような植物、壺のような幹から短い枝を生やしピンク色の花を咲かせる樹木、世界で唯一のウリ科の樹木など、この世のものとは思えない珍奇な植物がたくさん揃っていますよ。」
「珍しいものばかりですね。」
「もちろん、植物が独自の進化を遂げていると言うことは、それに伴い動物や昆虫なども固有種が数多く存在していますよ。」
「そうなんだ。」
「地球上で最も地球らしくない場所とも言われる「ソコトラ群島」ですよ。」
「はい。」
「一度でも現地の写真を見れば、その印象深さとインパクトを忘れられなくなるでしょう。」
「そうなんだ。」
「島は、美しい海に囲まれていますよ。」
「はい。」
「アフリカ的な荒々しい自然も要していますよ。」
「そうなんだ。」
「現地ではキャンプをすることもできますよ。」
「はい。」
「大自然の中で寝食し奇怪な生態系を思う存分堪能することができますよ。」
「はい。」
「これほど常識外れの自然風景は、ここでしか見ることができませんよ。」
「貴重ですね。」
「世界遺産でも自然遺産と言うと、単に学問的に重要度が高いだけで観光には物足りない場所も多いですね。」
「そうですね。」
「しかし、ここは絶対に期待を裏切らない変わり種と言えますよ。」
「そうなんだ。」
「一度は訪れてみたい場所の一つですね。」
「わかりました。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~イエメンのシバームの旧城壁都市~
「「シバームの旧城壁都市」は、アバビア半島南端イエメンにある世界遺産ですね。」
「はい。」
「シバームの旧城壁都市と言えば、1982年に登録されたイエメンの世界遺産(文化遺産)で、首都サナアの東、同国中部のハドラマウト地方に位置する。この城壁都市の高層建築物は地上30mにも及び、そのすべてが5~8階建てで、まさにニューヨークの摩天楼やマンハッタンを思い起こさせるため、「砂漠の摩天楼」あるいは「砂漠のマンハッタン」ともいわれる。」
「砂漠の中にあり、車を飛ばしていると忽然とその姿を現しますよ。」
「そうなんですか。」
「「砂漠のマンハッタン」と呼ばれる「シバームの旧城壁都市」の特徴は、城壁で囲まれた狭い区域に日干し煉瓦で建造された高層建築が所狭しと密集している点ですね。」
「そうなんだ。」
「これら独特の高層建築によって形成された街並みが評価されて、1982年にユネスコの世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」
「「シバームの旧城壁都市」は、紀元前3世紀以降ハドラマウト地方の首都として存続していますよ。」
「はい。」
「ハドラマウト地方と言えば、南アラビアの一地域で現在はイエメン共和国領となっている。歴史的には西側のシャブワ県(英語版)、東側のアル=マフラ県(英語版)や、現オマーン領のズファール特別行政区(ズファール地方)も含む地域を指していた。」
「2000年以上の歴史を持っていますよ。」
「そうなんだ。」
「伝説によると、ノアの子孫たちが造営した街であるとも言われていますよ。」
「本当ですか?」
「シバームは、この地域で取れる乳香の交易によって古くから繁栄しましたよ。」
「はい。」
「街全体が城壁で囲まれており、その市街地の総面積は、半平方㎞しかないというから驚きですね。」
「狭いですね。」
「「シバームの旧城壁都市」には、建築物が五百軒ほどしかありませんよ。」
「そうなんですか。」
「そのほとんどが、5階建て以上の高層建築となっていますよ。」
「はい。」
「いったいなぜ、砂漠の真ん中にこのような異様な街並みが形成されたのか。」
「なぜでしょうね。」
「その理由は、外敵から身を守るためと、洪水被害を防止するためでしたよ。」
「そうなんだ。」
「交易で栄えた都市には、富が集まりますね。」
「はい。」
「そのため、外敵の来襲に備えて頑強な城壁が必要とされましたよ。」
「そうなんだ。」
「都市の人口が増えるにつれて、人が住む場所が足りなくなってきますね。」
「はい。」
「その時、無闇に街を広げるのではなく、そのままの広さで上に上にと伸びていきましたよ。」
「なるほど。」
「高層建築は、往事の歩兵などを戦力にする軍隊からしてみれば、非常に攻略のしづらい構造であったに違いありませんね。」
「そうですね。」
「その上、隣り合った建築物の間には、空中廊下がわたされていますよ。」
「そうなんですか。」
「下から追い詰めて行っても、逃げられるような仕組みになっていたと言いますね。」
「そうなんだ。」
「極めて狭い土地に高層建築が密集しているため、その景観は独特のものになりますよ。」
「はい。」
「「砂漠のマンハッタン」と呼ばれる通り、「シバームの旧城壁都市」は、まるで砂漠のど真ん中にマンハッタンの一区画をそのまま持ってきたかのようですよ。」
「びっくりですね。」
「もちろん、コンクリート製ではありませんよ。」
「はい。」
「建築は、すべて日干しの泥煉瓦で造られていますよ。」
「そうなんだ。」
「砂漠の地に馴染んだ情感を有していますよ。」
「はい。」
「建築は基本的に土色ですが、高層に行くと白っぽい煉瓦に変わりますよ。」
「はい。」
「これは、太陽の日差しに耐えられるように工夫された煉瓦を使っているためですよ。」
「そうなんだ。」
「街の中を歩いて観光することもできますよ。」
「はい。」
「建物が密集しているため、道は非常に狭く高層建築の隙間を縫うように歩くことになりますよ。」
「そうなんですか。」
「煉瓦で造られた美しい高層建築に挟まれた路地は、なんとも言い難い異国情緒に満ちあふれていますよ。」
「はい。」
「存分に旅情を感じさせてくれることでしょう。」
「そうなんだ。」
「イエメンが誇る世界遺産「シバームの旧城壁都市」ですよ。」
「はい。」
「世界最古の高層ビル群を、その目で味わってみてはいかがでしょう。」
「わかりました。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~エルサレムの旧市街とその城壁群~
「「エルサレムの旧市街とその城壁群」は、聖地エルサレムにある旧市街地ですよ。」
「はい。」
「聖地エルサレムと言えば、35億人が聖地とたたえるエルサレム。ユダヤ・キリスト・イスラム3教の信徒が1km四方に集まる旧市街は世界の縮図であると同時に、岩のドーム、嘆きの壁、ゴルゴダの丘など著名な建造物が密集した歴史都市でもある。」
「1981年にユネスコの世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」
「エルサレムと言うと、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教共通の聖地として有名ですね。」
「そうですね。」
「19世紀半ばまで、エルサレムはこの旧市街区域に限られていましたよ。」
「そうなんですか。」
「そのため、それぞれの宗教における極めて重要な聖地もこの旧市街に集中していますよ。」
「そうなんだ。」
「世界遺産に指定されるのも当然であると言えるでしょう。」
「なるほど。」
「しかし、同時に、「エルサレムの旧市街とその城壁群」は、全世界遺産のうちで最も長期間にわたり危機遺産リストに指定されている場所でもありますよ。」
「どうしてですか?」
「エルサレム自体が、ユダヤ人とパレスティナ人の間で所有権をめぐる紛争のさなかにありますね。」
「はい。」
「その中でも、この旧市街の所有権は最大の争点となっていますよ。」
「そうなんだ。」
「「エルサレムの旧市街とその城壁群」は、世界で最もデリケートな世界遺産であると言えますね。」
「そうですね。」
「紀元前11世紀に、かの有名なダビデ王がこの地を征服して以来、複雑な歴史を歩んできましたよ。」
「はい。」
「ダビデ王と言えば、古代イスラエルの王(在位:前1000年 - 前961年頃)である。ダヴィデ、ダヴィドとも。羊飼いから身をおこして初代イスラエル王サウルに仕え、サウルがペリシテ人と戦って戦死したのちにユダで王位に着くと、ペリシテ人を撃破し要害の地エルサレムに都を置いて全イスラエルの王となった。旧約聖書の『サムエル記』および『列王記』に登場し、伝統的に『詩篇』の作者とされてきた。イスラム教においても預言者の一人に位置づけられている。」
「エルサレムは、どこひとつ取っても貴重な遺跡ですよ。」
「はい。」
「ここでは、三つの宗教にとって重要な遺跡を一つずつピックアップしてみましょう。」
「お願いします。」
「まず、ユダヤ教の聖地「嘆きの壁」ですね。」
「はい。」
「ユダヤ教の聖地「嘆きの壁」と言えば、ヘロデ大王時代のエルサレム神殿の外壁のうち、現存する部分である。神殿はユダヤ教で最も神聖な建物であった。」
「かつて、ここにはユダヤ教の神殿が建っていましたよ。」
「そうなんですか。」
「しかし、ローマ帝国の侵略によって破壊されてしまいましたよ。」
「そうなんだ。」
「その神殿は、ユダヤ教で最も神聖とされていた神殿でしたよ。」
「はい。」
「ユダヤ教徒たちが、唯一残されたこの壁に向かって嘆いたというのが、名前の由来ですね。」
「そうなんだ。」
「次に、キリスト教の聖地「聖墳墓教会」ですね。」
「はい。」
「キリスト教の聖地「聖墳墓教会」と言えば、エルサレム旧市街(東エルサレム)にあるキリストの墓とされる場所に建つ教会である。ゴルゴタの丘はこの場所にあったとされる。正教会では復活教会とも称されている。ギリシャ正教系の正教会、アルメニア使徒教会等においてはエルサレム総主教座聖堂であり、中東地域の教会行政の中心でもある。」
「「エルサレムの旧市街とその城壁群」の中には、イエスが十字架を背負って処刑場であるゴルゴダの丘まで歩いたとされる「悲しみの道」が残されていますよ。」
「はい。」
「ゴルゴダの丘と言えば、エルサレムの丘である。新約聖書においてイエス・キリストが十字架に磔にされたとされる。」
「かつてのゴルゴダの丘に建てられたのが、この「聖墳墓教会」ですね。」
「そうなんですか。」
「教会の1階にはイエスの墓があり、2階には十字架にかけられたイエスの像がありますよ。」
「はい。」
「実際に、ここで処刑されたことを思うと、キリスト教徒でなくとも胸に迫るものがありますね。」
「そうですね。」
「最後に、イスラム教の聖地「岩のドーム」ですね。」
「はい。」
「イスラム教の聖地「岩のドーム」と言えば、東エルサレムにある、カアバ、預言者のモスクに次ぐイスラム教の第3の聖地であり、「神殿の丘」と呼ばれる聖域となっている。現在はイスラム教徒の管理下にあるが、南西の壁の外側の一部だけが「嘆きの壁」としてユダヤ教徒の管理下にある。7世紀末に完成した集中式平面をもつ神殿である。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって重要な関わりを持つ聖なる岩を祀っている。」
「預言者ムハンマドが、昇天(ミウラージュ)を体験したとされる場所ですよ。」
「そうなんだ。」
「昇天(ミウラージュ)と言えば、『預言者伝』などでは、大天使ガブリエル(アラビア語ではジブリール)に導かれて、そこから「昇天」(ミウラージュ)して神に対面してきたという伝説も記されている。」
「預言者ムハンマドと言えば、イスラーム教の開祖、軍事指導者、政治家である。預言者ムハンマド(マホメット)が始めたイスラム教は、ユダヤ教やキリスト教の影響を受けて生まれた。その独特の聖戦の概念により、僅か1世紀の間に中央アジアから北アフリカ、イベリア半島にいたる大帝国を築いた。」
「7世紀末に建てられましたよ。」
「はい。」
「黄金のドーム屋根を有しており、エルサレムのシンボルとも言えるものですね。」
「はい。」
「一度は、どこかで目にしたことがあると思いますよ。」
「そうですかね?」
「八角形の幾何学的な建築で、外装内装ともに非常に美しい出来栄えとなっていますよ。」
「そうなんだ。」
「「エルサレムの旧市街とその城壁群」には、これだけ第一級の史跡が残されていますよ。」
「いいですね。」
「この地を観光で訪れる価値は計りしれませんよ。」
「はい。」
「エルサレムは、世界中からそれぞれの宗教徒たちが巡礼に訪れる聖地でもありますよ。」
「はい。」
「観光する際には、くれぐれも彼らの邪魔をしないように気をつけましょう。」
「わかりました。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~レバノンのバールベック~
「「バールベック」は、レバノン東部、レバノン山脈とアンチ・レバノン山脈の間にあるベカー高原に位置する古代遺跡群ですよ。」
「はい。」
「ベカー高原と言えば、レバノンのレバノン山脈とアンチレバノン山脈との間に広がる高原である。オロンテス川が北へ、リタニ川が南へと流れている。バールベックが代表的な遺跡であり、多くの観光客が訪れる。」
「アンチ・レバノン山脈と言えば、アンチレバノン山脈=アラビア語でレバノン東部山脈は、レバノンとシリアの国境となっている山脈である。最高峰は南部にあるシャイフ山の2,814mである。」
「レバノン山脈と言えば、レバノンの中央を南北に走る全長約160kmの山脈である。ジェベル・エル・ガールとも呼ばれる。中東であるのに関わらず、標高3,000m級の山々には雪が積もるため、アラム語で「白」を表すラバンがレバノンの語源となった。」
「バールベックと言えば、レバノンの東部、ベイルートの北東約85km、ベカー高原の中央にある古代遺跡である。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。バールベックとは「ベカー高原の主神」を意味し、ここにフェニキアの神ハダド(バアル)が祀られていた事に由来するといわれ、本来はフェニキア系の神々の聖地だったと考えられる。」
「レバノンと言えば、レバノン共和国、通称レバノンは、西アジア・中東に位置する共和制国家である。北から東にかけてシリアと、南にイスラエルと隣接し、西は地中海に面している。首都はベイルート。」
「元々は、フェニキア人たちの神が祭られていた場所であったと言われていますよ。」
「そうなんだ。」
「フェニキア人と言えば、セム族に属する一民族、カナーン人のギリシャ名である。前3000~前2000年ごろ、地中海東岸中部に多数の都市国家や植民市を建設。航海に長じて海上交易に従事、その活動範囲は大西洋やインド洋に及び、各地にオリエント文明を伝えた。」
「その後、ギリシア・ローマ系の神々と同一視されることになりましたよ。」
「そうなんですか。」
「現在残っている遺跡も、ローマ時代に作られたものですね。」
「はい。」
「1984年にユネスコの世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」
「現在「バールベック」に残されている遺跡は、1世紀から3世紀頃に、ローマ帝国によって造られた神殿跡であると考えられていますよ。」
「そうなんだ。」
「遺跡群の中心を為すのは、三つの神殿ですよ。」
「はい。」
「それぞれ、ジュピター・バッカス・ビーナスを祭ったものですよ。」
「そうなんだ。」
「ジュピター神殿は、そのほとんどが失われていますよ。」
「残念ですね。」
「ジュピター神殿と言えば、バールベックとは、レバノンの東部、ベイルートの北東約85km、ベカー高原の中央にある古代遺跡である。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。ジュピター神殿の遺跡の大部分は損壊してしまっている。しかし神殿跡に残る「6本大列柱」は、バールベック遺跡の象徴となっている。」
「6本の巨大な列柱が、威風堂々と天に向かって直立していますよ。」
「はい。」
「世界遺産「バールベック」のシンボル的存在となっていますよ。」
「そうなんだ。」
「列柱の高さは、20メートルほどありますよ。」
「高いですね。」
「間近で見上げると、信じられないようなスケールで迫力がありますよ。」
「そうなんだ。」
「神殿のごく一片だけでも、この迫力ですよ。」
「はい。」
「完全な姿の時は、どれほど壮大なものだったのか・・・。」
「そうでしょうね。」
「当時の技術力の高さが、うかがい知れますね。」
「はい。」
「この神殿は、あの有名なパルテノン神殿をはるかに凌ぐ規模ですよ。」
「凄いですね。」
「ローマ帝国最大級のものだったと言われていますよ。」
「そうなんだ。」
「バッカス神殿の方は、ほぼ完全な姿で残存していますよ。」
「はい。」
「バッカス神殿と言えば、バールベックとは、レバノンの東部、ベイルートの北東約85km、ベカー高原の中央にある古代遺跡である。バッカス神殿は、遺跡の南側の低地に建つ神殿である。内部の祭殿や柱・天井に彫刻が多数残っている。」
「これほど保存状態の良い古代神殿は、他ではお目にかかることができませんね。」
「そうなんですか。」
「単に列柱などが残っているというだけではありませんよ。」
「はい。」
「柱や天井に施された装飾も、綺麗な形で残っていますよ。」
「いいですね。」
「古代ローマ・ギリシア時代の芸術作品としても、一見の価値がありますよ。」
「はい。」
「ここでは、神殿の内部に入ることもできますよ。」
「そうなんですか。」
「ビーナス神殿は、二つの神殿から少し離れた場所にありますよ。」
「はい。」
「ビーナス神殿と言えば、バールベック遺跡は、ジュピター神殿、バッカス神殿、ビーナス神殿の3つの神殿からなっています。巨大なジュピター神殿の横にバッカス神殿が並び、少し離れたところにビーナス神殿が建てられている。」
「大部分が崩壊していますよ。」
「残念ですね。」
「神殿の中心を占める堂は、かろうじて形を保っていますよ。」
「はい。」
「往事の様子を想像することができますね。」
「はい。」
「その大きさから他の二つに比べて、小振りな神殿であったことがわかりますね。」
「そうなんだ。」
「「バールベック」には、これら三つの神殿だけではありませんよ。」
「何があるのですか?」
「そこかしこに、遺跡が残されていますよ。」
「そうなんですか。」
「一通り見て歩くだけでも一仕事ですよ。」
「そうなんだ。」
「アーチ状の門と四角い窓を持つ建物や、前庭や大庭園、大小さまざまな祭壇なども残されていますよ。」
「いろいろあるんですね。」
「よく見ていくと、列柱や壁などにレリーフなどの細かい装飾が施されていますよ。」
「はい。」
「見ていて飽きることがありませんよ。」
「そうなんだ。」
「「バールベック」は、レバノンが誇る一大世界遺産ですよ。」
「はい。」
「世界でも指折りの古代ギリシア・ローマ遺跡であると言えますよ。」
「はい。」
「地中海付近に訪れた際には、是非「バールベック」まで足を運んで、古代神殿の美しさと壮大さとを直に感じてほしいものですね。」
「わかりました。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~レバノンのビブロス~
「「ビブロス」は、レバノン地中海沿岸にある古代都市ですね。」
「はい。」
「ビブロスと言えば、レバノンの首都であるベイルートの北方約30kmにある地中海沿岸の都市である。古代にはフェニキア人の都市として栄えた。」
「レバノンと言えば、レバノン共和国、通称レバノンは、西アジア・中東に位置する共和制国家である。北から東にかけてシリアと、南にイスラエルと隣接し、西は地中海に面している。首都はベイルート。」
「およそ7000年前に作られ、地中海沿いにあるものとしては、世界最古の都市と言われていますよ。」
「かなり昔のことですね。」
「この地に残る遺跡群が、1984年にユネスコの世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」
「ビブロスには、かつてフェニキア人が住んでいましたよ。」
「そうなんですか。」
「フェニキア人と言えば、セム族に属する一民族、カナーン人のギリシャ名である。前3000~前2000年ごろ、地中海東岸中部に多数の都市国家や植民市を建設。航海に長じて海上交易に従事、その活動範囲は大西洋やインド洋に及び、各地にオリエント文明を伝えた。」
「アルファベットの母型であるフェニキア文字もこの地で生まれたと考えられていますよ。」
「そうなんだ。」
「アルファベットの母型であるフェニキア文字と言えば、アルファベットは紀元前2000年の中ごろ、東地中海地方のセム語族フェニキア人によって創案され、当時は22文字であったともみられる。」
「ギリシアでは、ビブロスは“パピルス”という名称で呼ばれていましたよ。」
「はい。」
「エジプトで作られるパピルスと言えば、カヤツリグサ科の植物の1種、またはその植物の地上茎の内部組織(髄)から作られる、古代エジプトで使用された文字の筆記媒体のこと(区別のためそれぞれ、パピルス草・パピルス紙とも呼ばれる)である。「紙」を意味する英語の「paper」やフランス語の「papier」などは、パピルスに由来する。」
「それが、今度はビブロスが転じて書物を意味するようになりましたよ。」
「そうなんだ。」
「そこから、聖書を意味する「ビルブ(バイブル)」という言葉が生まれたと言われていますよ。」
「なるほど。」
「地中海沿岸最古の都市と言われるだけあって、さまざまなものの由来となっているのがここ「ビブロス」ですね。」
「はい。」
「「ビブロス」は、交易で栄えた港町でしたよ。」
「はい。」
「ギリシアでパピルスと呼ばれたのも、レバノン杉をエジプトに輸出する一方で、エジプトで作られるパピルスをギリシアに流していたためですよ。」
「そうなんだ。」
「レバノン杉と言えば、マツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹である。名前に「スギ」が付いているが、スギは同目ではあるもののスギ科スギ属であり、近縁ではない。」
「しかし、そんなフェニキア人の都市も12世紀になるとローマ帝国の支配下に入りましたよ。」
「はい。」
「十字軍による要塞などが築かれることになりますよ。」
「はい。」
「「ビブロス」には、新石器時代からローマ時代のものまで、歴史の歩みと共に築かれたさまざまな遺跡が存在していますよ。」
「そうなんですか。」
「石器時代のものは土台のみとはいえ、この時代のものとしては、比較的良好な保存状態ですよ。」
「はい。」
「当時、ここにフェニキア人の住居があったことが、はっきりとわかりますね。」
「そうなんだ。」
「前述した十字軍の要塞も、綺麗な形で残されていますよ。」
「はい。」
「要塞に登ると、遺跡全体とその向こうに広がる地中海を一望でき、朽ち果てた古代都市の持つ趣を存分に味わうことができますよ。」
「いいですね。」
「要塞以外にも、ローマ風の列柱が残されていたり、小振りな円形劇場が残されていたりと、所々に古代ローマ時代の遺跡が見られますよ。」
「はい。」
「他の時代のものとしては、古代ビブロス王たちの墓、エジプトの支配下にあった時代に建てられたオベリスク神殿など、盛りだくさんの内容になっていますよ。」
「いろいろあるんですね。」
「古代遺跡群のすぐ隣には、十字軍によって12世紀に建てられた教会が残っていますよ。」
「はい。」
「要塞と共に、「ビブロス」の人気スポットとなっていますよ。」
「そうなんだ。」
「ロマネスク様式の素朴ながら美しい建物で、朽ちた色合いの石造りがひっそりとした情感をたたえていますよ。」
「わかりました。」
「ロマネスク様式と言えば、10世紀末から12世紀にかけてヨーロッパ各地に見られた建築・美術様式である。建築物は石造の厚い壁や半円アーチを持つのが特徴。フランスのサン・トロフィーム教会、イタリアのピサ大聖堂、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ大聖堂などが代表例。「ロマネスク」は「ローマ風の」という意味。」
アジア最南端の中東諸国の世界遺産~レバノンのティルス~
「「ティルス」は、レバノン南西、地中海に面した場所にある古代遺跡ですよ。」
「はい。」
「ティルスと言えば、レバノンの南西部、地中海に面する都市遺跡である。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された史跡でもある。」
「レバノンと言えば、レバノン共和国、通称レバノンは、西アジア・中東に位置する共和制国家である。北から東にかけてシリアと、南にイスラエルと隣接し、西は地中海に面している。首都はベイルート。」
「元々は、フェニキア人の都市国家でしたよ。」
「そうなんですか。」
「フェニキア人と言えば、セム族に属する一民族、カナーン人のギリシャ名である。前3000~前2000年ごろ、地中海東岸中部に多数の都市国家や植民市を建設。航海に長じて海上交易に従事、その活動範囲は大西洋やインド洋に及び、各地にオリエント文明を伝えた。」
「ここも、その他の地中海都市と同様にローマ帝国の支配下に入りましたよ。」
「はい。」
「残存している遺跡のほとんども、古代ローマ帝国時代の建造物ですよ。」
「そうなんだ。」
「1984年にユネスコの世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」
「なお、この地は、現在スールという名の小さな漁村になっていますよ。」
「はい。」
「スールという名の小さな漁村と言えば、ティルスは、レバノンの南西部、地中海に面する都市遺跡である。ティルスは、現在小さな漁村であるスールの位置にかつてあった都市である。都市の起こりは紀元前2500年ごろといわれている。」
「「ティルス」という都市国家は、元々、海岸沿いの陸地のみを領土にしていましたよ。」
「はい。」
「現在では、海峡向こうの島と陸続きになっていますよ。」
「そうなんですか。」
「そちら側にも遺跡が存在していますよ。」
「そうなんだ。」
「このような変わった地形になったのには、歴史的な経緯がありますよ。」
「どういうことですか?」
「紀元前1000年頃、かつてこの地を治めていたティルス王が、防衛上の理由から都市を大陸側から少し離れた小島に移しましたよ。」
「はい。」
「その中間にある小島を繋いで、海中に砦を形成しましたよ。」
「はい。」
「元々、都市があった陸地側からの攻撃に備えるためですね。」
「そうなんだ。」
「ここに、紀元前322年に侵攻をしかけたのが、アレキサンダー大王でしたよ。」
「はい。」
「アレキサンダー大王と言えば、アレクサンドロス3世(紀元前356年7月? - 紀元前323年6月10日、在位紀元前336年 - 紀元前323年)、通称アレクサンドロス大王は、アルゲアデス朝のマケドニア王、コリント同盟(英語版)(ヘラス同盟)の盟主、エジプトのファラオを兼ねた人物である。ギリシア語ではアレクサンドロス大王であるが、この場合は英語風に読んでアレクサンダー大王またはアレキサンダー大王とすることも多い。」
「砦を擁する海峡の向こうにあるティルスを征服するため、彼はわざわざ橋を造ってから攻撃を仕掛けましたよ。」
「そうなんですか。」
「最終的にティルスは、陥落しましたよ。」
「そうなんだ。」
「この時に作られた橋に土が積もったために、陸地側と島側が現在陸続きになっているということですね。」
「はい。」
「さて、現在「ティルス」には、フェニキア時代の遺跡は存在しませんよ。」
「どうしてですか?」
「ティルスと言えば、レバノンの南西部、地中海に面する都市遺跡である。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された史跡でもある。」
「形を留めているのは、すべてローマ帝国占領下時代の遺跡ですよ。」
「はい。」
「最も有名なのが、海に向かって伸びている“列柱通り”と呼ばれる遺跡ですね。」
「はい。」
「海に向かって伸びている“列柱通り”と呼ばれる遺跡と言えば、ティルスは、レバノン南西、地中海に面した場所にある古代遺跡です。残存している遺跡のほとんども、古代ローマ帝国時代の建造物です。最も有名なのが、海に向かって伸びている“列柱通り”と呼ばれる遺跡です。」
「列柱と言っても、古代神殿によく見られるような巨大なものではありませんよ。」
「そうなんですか。」
「人の背丈くらいの可愛らしい柱が、狭い道の両端に並んでいるだけですよ。」
「はい。」
「道は煉瓦で舗装されており、道の左右にも建造物の跡が残っていますよ。」
「そうなんだ。」
「目の前には地中海を臨み、朽ちた煉瓦と下生えの緑を視界に入れながら、整然と並べられた列柱の間を歩く・・・。」
「はい。」
「何とも旅情にあふれ、歴史ロマンを感じさせる体験だと思いますよ。」
「そうなんだ。」
「他にも、段ボールほどの大きさの石棺が並べられた墓地や、堂々たる風格の凱旋門、大きな列柱が並ぶ舗装道路や商店街、競技場とそれを見物するための観覧席、水槽やプールの跡などがありますよ。」
「いろいろあるんですね。」
「陸側と島側双方にわたって、多種多様な施設の遺構が良好な保存状態で残されていますよ。」
「はい。」
「一通り見て回れば、当時ここに住んでいた人たちの生活に思いを馳せることが容易にできるでしょう。」
「そうなんだ。」
「ロケーション、それに纏わる歴史的経緯、遺跡の豊富さ、どれを取っても世界遺産「ティルス」は、第一級の魅力を有する古代遺跡であることは間違いありませんよ。」
「わかりました。」
「レバノンには、他にも世界に名だたる世界遺産がいくつかありますよ。」
「そうなんですか。」
「それらと合わせて、レバノン観光をするといいかも知れませんよ。」
「わかりました。」
世界遺産のおすすめ~基礎・人気・日本・ユネスコ~
「世界遺産のおすすめ~基礎・人気・日本・ユネスコ~」
⇒世界遺産のおすすめ~基礎・人気・日本・ユネスコ~