インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～アジャンター石窟群・エローラ石窟群・マハーバリプラムの建造物群・ゴアの教会群と修道院群・カジュラーホーの建造物群・ハンピの建造物群・パッタダカルの寺院群・エレファンタ石窟群～

インド世界遺産三大石窟群インド美術

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術

「皆さんはインドの世界遺産を知っていますか？」
「いいえ、よく知りません。」

「タージマハルは、比較的知名度は高いですが、それ以外の世界遺産はどうでしょうか？」
「いいえ、よく知りません。」

「タージマハルと言えば、インド北部アーグラにある、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に死去した愛妃ムムターズ・マハルのため建設した総大理石の墓廟である。インド＝イスラーム文化の代表的建築である。」

「おそらく、漠然としたものしか想像できないでしょうね。」
「そうですね。」

「インドには、信じがたいまでに個性的な世界遺産が数多く公開されていますよ。」
「そうなんですか。」

「面白い建物や珍しいものが好きな方は、ぜひ観光してほしいと思いますよ。」
「わかりました。」

「インドは、「アジャンター石窟群」、「エローラ石窟群」、「エレファンタ石窟群」、「ハンピの建造物群」など、数え切れないほどの世界遺産を保有していますよ。」
「いろいろありますね。」

「石窟と言えば、岩山や岩場を人為的に掘削した人工空間、あるいは自然の洞穴を利用したりした洞窟を含めた総称である。中国では、このような石窟を利用した仏教寺院を指す場合に、石窟寺院を省略して、単に石窟と呼んでいる。」

「これらは世界遺産の分類では、「文化遺産」にカテゴライズするものですね。」
「はい。」

「主に文化的な建造物を扱っていますよ。」
「はい。」

「他にも「自然遺産」というカテゴリーがあり、こちらは海岸や砂漠、ジャングルなどの場所が指定されていますよ。」
「そうでしょうね。」

「少なくとも、インドの世界遺産と同じような世界遺産は、まず他の国には見つからないと断言しますよ。」
「本当ですか？」

「インドの世界遺産は、独特の宗教文化が色濃く投影されていますよ。」
「そうなんですか。」

「極彩色、激しいと、何かと濃い印象を放っているものがたくさんありますよ。」
「濃いですね。」

「特に、東インドにはそのような世界遺産が数多く点在していますよ。」
「はい。」

「多くの観光客が訪れる観光スポットになっていますよ。」
「わかりました。」

「東インドは、「コナーラクのスーリヤ寺院」などの世界遺産が保存されており、西インドとは大きく異なった文化が存在しますよ。」
「そうなんですか。」

「コナーラクのスーリヤ寺院と言えば、インド・オリッサ州コナーラクにある、ヒンドゥーの太陽神スーリアを祀る寺院である。1984年に、ユネスコの世界遺産に登録された。建設されたのは、東ガンガ朝時代後期の13世紀である。ナラシンハデーヴァ1世が王子の頃より建設が始められ、完成には20年近くかかった。」

「東インドの特色は、大きな川が流れており、魚料理が豊富なことですね。」
「はい。」

「西インドは、主食としてパン（ナンやナンに似た主食）が出てくることが多いですね。」
「そうなんですか。」

「東インドは、食文化が発達しており、日本人が安心して食べられるような料理が豊富な地域ですよ。」
「それは安心ですね。」

「東インドの場合は、主食も基本的にはお米です。」
「いいですね。」

「だから、「ごはんがない旅行なんて我慢できない！」という日本人でも問題なく過ごせますよ。」
「なるほど。」

「遠目に世界遺産を眺めながら食べるインド料理は格別ですよ。」
「はい。」

「世界遺産を観光する際は、是非東部エリアの美味しい料理を味わってくださいね。」
「わかりました。」

「インドには上記の世界遺産以外にも面白い世界遺産がたくさんありますよ。」
「どんな世界遺産ですか？」

「異様なものもたくさんありますよ。」
「詳しく教えてください。」

「子供と一緒に遊べる所もありますよ。」
「はい。」

「子供には絶対に見せられないような、世界でもまず例を見ない不思議な世界遺産もありますよ。」
「そうなんですか。」

「それらをすべて観てまわることは、なかなか難しいかもしれませんね。」
「そうでしょうね。」

「インドは人の価値観を変えるパワーにあふれている、非常にエネルギッシュな国ですよ。」
「そうなんですか。」

「生きることに迷いがある方、何か自分を成長させることがしたいと思っている方には、特におススメしたい国ですね。」
「そうなんだ。」

「初めてインドを歩くと、人なつっこい人や面白い人が多くて、驚かれるかも知れませんね。」
「そうなんですか。」

「ある意味、この国ほど多感な感性を持った国はありませんね。」
「そうなんだ。」

「世界遺産をめぐって行けば、そのことが如実にわかる筈ですよ。」
「わかりました。」

「興味のある方は、是非アジャンター石窟群などの石窟群を観光してくださいね。」
「はい。」

「もちろん、ツアーに参加するのも良いですよ。」
「はい。」

「しかし、この国の場合は自分の心の向きにしたがって歩くのがおススメですよ。」
「わかりました。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～アジャンター石窟群～

「皆さんは「ビーマベトカ岩壁画」、「エローラ石窟群」、「アジャンター石窟群」などの世界遺産をご存じでしょうか？」
「いいえ、よく知りません。」

「ビーマと言えば、インドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する英雄である。ビーマセーナともいう。パーンダヴァの1人で、クル王パーンドゥの第1王妃クンティーが風神ヴァーユとの間にもうけた子。」

「ビーマベトカ岩壁画と言えば、ビーマベトカの岩壁画は、マディヤ・プラデーシュ州の州都であるボパールから南へ45km行った山を登ったところにある森の中にあります。この岩壁画は、約3000年～12000年前に描かれたと言われています。その画は、狩り、民族舞踊、宗教儀式、家事の様子など当時の人間模様とともに、野牛、虎、ライオン、猪など当時の自然界の様子が生き生きと描かれています。」

「これらは、インドの歴史を説明する上では欠かせない重要な世界遺産ですよ。」
「そうなんですか。」

「日本人が観光する場所として選ばれることも、ほとんどないスポットですよ。」
「本当ですか？」

「しかし、石窟群は、日本人がまだ知らない素晴らしい文化が溢れている場所ですよ。」
「そうなんだ。」

「だから、「これを見ずに、インドの文化は語れない」と言っても過言ではない場所ですよ。」
「はい。」

「インドの文化を一から学びたい方は、上記の石窟群や壁画群を是非チェックしておいてくださいね。」
「わかりました。」

「アジャンター石窟群とは、膨大な壁画が続く文化遺産ですよ。」
「そうなんですか。」

「マハラーシュートラ州北部にあるこの世界遺産は、様々な大きさの30の石窟があり、その長さは550メートル以上も続いていますよ。」
「長いんですね。」

「マハラーシュートラ州と言えば、西インドに位置するインドの州のひとつである。人口は約9,700万人。州の公用語はマラーティー語。州都はムンバイである。ムンバイはインドの経済と芸能の中心で、政治の中心であるデリーと国としての機能をわけている。」

「この世界遺産は、1983年にユネスコの世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」

「インドに豊富に存在する石窟群の中では、珍しく壁画が多い世界遺産ですよ。」
「そうなんですか。」

「アジャンター石窟群の壁画は、「ラピスラズリ」という顔料が使われていますよ。」
「どんな顔料ですか？」

「ラピスラズリという顔料と言えば、ラピスラズリは金色の斑点が輝く群青の石である。ラピスラズリは青以外に多くの不純物を含み、単に粉末にしただけでは着色力、被覆力ともに弱く、淡く薄い空色程度にしかならない。１２～１３世紀に不純物を除いてウルトラマリンを精製する方法が発達し、顔料としての華々しい地位を得る。」

「ラピスラズリは、ドイツなどでは「ウルトラマリン」と呼ばれている鉱物ですよ。」
「はい。」

「このウルトラマリンは、ヨーロッパではアフガニスタンでしか採掘されないものですよ。」
「そうなんだ。」

「そのため、「ウルトラ（超える）マリン（海）」と呼ばれていた鉱物でしたよ。」
「なるほど。」

「海を越えてやってきたこの鉱物は、10世紀から11世紀にかけて築かれた中国の壁画や、11世紀～17世紀のインドの壁画に使われるようになりましたよ。」
「そうなんだ。」

「アジャンター石窟群にあるものも、その鉱物顔料を使われて描かれていますよ。」
「はい。」

「宝石が好きな女性なら、鉱物で描かれた世界遺産は、非常にロマンチックに感じられる筈ですよ。」
「はい。」

「古代の芸術などに興味のある女性には、是非見学して欲しいと思いますね。」
「わかりました。」

「アジャンター石窟群は、100年かけて築かれた壁画が見られる場所ですよ。」
「100年もですか？」

「美しいものが好きな方に、強くおススメできる世界遺産ですね。」
「わかりました。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～エローラ石窟群～

「インドのデカン高原・エローラの岩山に、インド三大石窟の一つに数えられている『エローラ石窟群』が広がっていますよ。」
「はい。」

「インド三大石窟と言えば、インド三大石窟（石の洞窟）とは、アジャンター石窟群、エレファンタ石窟群、エローラ石窟群（いずれも世界遺産）を言う。」

「エローラの岩山と言えば、三つの宗教が混在する石窟群エローラは、大地にせり出した岩山を掘削して作られた寺院群である。」

「インドのデカン高原と言えば、インド半島の大部分を構成し西ガーツ山脈から東ガーツ山脈にいたる台地である。マハーラーシュトラ州、カルナータカ州、アーンドラ・プラデーシュ州からなる。デカン高原は大きな三角形をしており、北辺はヴィンディヤ山脈、東西端はそれぞれ東ガーツ山脈・西ガーツ山脈である。総面積は1,900万平方キロメートル、ほぼ平坦で標高は300-600メートルである。『デカン』の名称はサンスクリット語で『南』を意味するdakshina に由来する。」

「この『エローラ石窟群』は約2kmに渡り、計34の石窟が残されていますよ。」
「はい。」

「これらの石窟は、全て同じ宗教のものではありません。」
「そうなんですか。」

「古代宗教・ジャイナ教、仏教、ヒンドゥー教というインド歴代の宗教のそれぞれの寺院などが密集している珍しいものですよ。」
「そうですね。」

「ヒンドゥー教と言えば、インドやネパールで多数派を占める民族宗教である。ヒンドゥー教徒の数はインド国内で8.3億人、その他の国の信者を合わせると約9億人とされ、キリスト教、イスラム教に続いて、人口の上で世界で第3番目の宗教である。」

「仏教と言えば、インドの釈迦（ゴータマ・シッダッタ、あるいはガウタマ・シッダールタ）を開祖とする宗教である。キリスト教・イスラム教と並んで世界三大宗教の一つ（信仰のある国の数を基準にした場合）で、一般に仏陀（目覚めた人）の説いた教え、また自ら仏陀に成るための教えであるとされる。」

「ジャイナ教と言えば、マハーヴィーラ（ヴァルダマーナ、前6世紀-前5世紀）を祖師と仰ぎ、特にアヒンサー（不害）の誓戒を厳守するなどその徹底した苦行・禁欲主義をもって知られるインドの宗教である。「ジナ教」とも呼ばれる。」

「古代宗教と言えば、古代宗教の代表格は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教などである。都市文明を伴った古代文明のうち、最も非血縁的であるかにみえるメソポタミア文明においても、その宗教の内実は「位階化神話の高度化」であったと評価し、エジプトでも同様にみられる神々の階層化と広大な宇宙論との集大成こそが、R.N.ベラーのいう「古代宗教」である、としている。」

「その貴重さや、各寺院の建築技術の高さなどが評価され、1983年に世界遺産に認められましたよ。」
「はい。」

「この『エローラ石窟群』の南側、第1～12窟は仏教の石窟がありますよ。」
「はい。」

「5～8世紀にかけて造られたと考えられていますよ。」
「そうなんですか。」

「仏教窟は大きく分けて、僧侶の住居・学び部屋・瞑想室などのヴィハーラ窟と寺院の役割のあるチャティヤ窟に分けられますよ。」
「はい。」

「チャティヤ窟と言えば、仏教窟であるこの石窟の種類は2種類ある。ブッダを象徴する「聖なるもの」（チャイティヤ）として仏塔などが据えられたものをチャイティヤ窟という。」

「ヴィハーラ窟と言えば、仏教窟であるこの石窟の種類は2種類ある。平地に木造か煉瓦造で建てられていた僧院（ヴィハーラ）を石窟におきかえたものをヴィハーラ窟という。」

「第10窟以外はすべてヴィハーラ窟となっていますよ。」
「はい。」

「見所は、やはり第10窟ですよ。」
「何があるのですか？」

「「ストゥーパ」と呼ばれている仏塔の前に、釈迦の仏像が堂々と座っていますよ。」
「はい。」

「ストゥーパと呼ばれている仏塔と言えば、釈迦の遺骨を納めた聖建造物（仏塔）である。ストゥーパを音写した卒塔婆(そとば)など，塔，浮屠(ふと)等の語源になっている。」

「天井は、柱が何本もあり、まるで肋骨のように見えますよ。」
「そうなんですか。」

「ここにいると、何かに食べられてしまったかのような不思議な気持ちになりますよ。」
「そうなんですか。」

「2階建ての吹き抜けの構造となっており、上がる事も出来ますよ。」
「はい。」

「この『エローラ石窟群』の北側には、ジャイナ教の石窟がありますよ。」
「はい。」

「9世紀頃に造られたもので、一部彫刻などが残されており、ヒンドゥー教の影響を受けていると考えられていますよ。」
「そうなんですか。」

「ヒンドゥー教の石窟群は、『エローラ石窟群』の中央一帯、第13～29窟にありますよ。」
「はい。」

「ここには、最も有名で巨大な第16窟「カイラーサ・ナータ寺院」を含み、特に観光客の多いゾーンでもありますよ。」
「はい。」

「カイラーサ・ナータ寺院と言えば、ヒンドゥー教も石窟を造営し，その一変形である岩石寺院は岩山を削って造ったいわば寺院全体を巨大な彫刻としたもので，エローラのカイラーサナータ寺がその代表例である。」

「この「カイラーサ・ナータ寺院」は、世界最高の石造建築と言われ、見ごたえがありますよ。」
「そうなんだ。」

「高さ約32m、底面は85m×50mという大きさですよ。」
「大きいですね。」

「目を見張るほどのとても細かく繊細な彫刻で覆われていますよ。」
「はい。」

「この寺院のすごい所は、巨大な一枚岩を上からくり抜いて造られていることですよ。」
「そうなんですか。」

「細かな神々を描いた彫刻なども、ノミとカナヅチで彫り進めていますよ。」
「それは大変な作業ですね。」

「レリーフは、ヒンドゥー教の神話をもとに描かれていますよ。」
「そうなんですか。」

「主に、「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」に出てくるシーンを再現していますよ。」
「そうなんですか。」

「ラーマーヤナと言えば、『マハーバーラタ』と並び称される古代インドの大長編叙事詩である。全7巻。「ラーマ王行状記」の意味。サンスクリットで書かれており、その長さは48,000行に及ぶ。ヒンドゥー教の神話と、古代英雄であるコーサラ国のラーマ王子に関する伝説をまとめたものである。」

「マハーバーラタと言えば、古代インドの宗教的、哲学的、神話的叙事詩である。ヒンドゥー教の聖典のうちでも重視されるものの1つで、グプタ朝ごろに成立したと見なされている。」

「ヒンドゥー教の神話「マハーバーラタ」と言えば、古代インドの宗教的、哲学的、神話的叙事詩である。ヒンドゥー教の聖典のうちでも重視されるものの1つで、グプタ朝ごろに成立したと見なされている。」

「中でも、舞踏王ナタラージャと呼ばれている、ヒンドゥー教2大神の一人・シヴァ神が踊っている彫りものが有名ですよ。」
「はい。」

「ヒンドゥー教2大神の一人・シヴァ神と言えば、創造と破壊の神、乗り物は牡牛のナンディン、トラの皮をまとい首にコブラを巻く。しばしば結跏趺坐し瞑想する姿で描かれる。北伝仏教では大自在天（降三世明王に降伏され仏教に改宗したとされる）。」

「舞踏王ナタラージャと言えば、ナタラージャは、シヴァ神の踊る姿であり、舞踏王の意味があります。古くから舞踏は祈りの儀式と結びつき、豊作祈願、戦での勝利祈願のために舞踏が活用されてきました。」

「他にも、シヴァ神とパールバティの結婚式を描いたものや、カイラーサ山を揺らす魔王ラーヴァナを描いたものなど多く残されていますよ。」
「はい。」

「魔王ラーヴァナと言えば、インドにおける魔王の1人である。叙事詩『ラーマーヤナ』に登場するラークシャサ（羅刹）の王で、ランカー島（セイロン島）を本拠地としてラークシャサ族を治める。10の頭、20の腕と銅色の目、月のように輝く歯と山のような巨体を持つ。」

「カイラーサ山と言えば、古代インドの伝説上の山で，チベット南西部のカイラス山脈の西部に位置するカイラス山がそれにあたるとされている。ヒンドゥー教およびラマ教の聖地として，古くから崇敬されている山である。」

「パールバティと言えば、ヒンドゥー教の女神の一柱で、その名は「山の娘」を意味する。シヴァ神の神妃。ヒマラヤ山脈の山神ヒマヴァットの娘で、ガンジス川の女神であるガンガーの姉に当たる。軍神スカンダや、学問の神ガネーシャの母。シヴァの最初の妻サティーの転生とされ、穏やかで心優しい、美しい女神といわれる。金色の肌を持つ。ウマー、ガウリー、チャンディー、アンビカーなど別名が多い。」

「ヒンドゥー教ゾーンの他の見所は、第15窟の「ダシャーヴァターラ窟」で描かれているヒンドゥー教2大神のもう一人ヴィシュヌの10の化身ですよ。」
「はい。」

「ヒンドゥー教2大神のもう一人ヴィシュヌと言えば、繁栄の象徴でもあるヴィシュヌ神は、ヴェーダ起源の神であり、古代の多くの神々を化身として取り込んだ複合神です。一般的に10種（20種以上ともいわれる）の化身を持って人々を救済するとされています。」

「ダシャーヴァターラ窟と言えば、ヒンドゥー教の石窟群は、『エローラ石窟群』の中央一帯、第13～29窟にあります。第15窟の「ダシャーヴァターラ窟」で描かれているヒンドゥー教2大神のもう一人ヴィシュヌの10の化身です。」

「第29窟「ドゥマル・レナ窟」の神々の彫刻です。」
「そうなんだ。」

「ドゥマル・レナ窟と言えば、ヒンドゥー教の石窟群は、『エローラ石窟群』の中央一帯、第13～29窟にあります。ヒンドゥー教ゾーンの見所は、第29窟「ドゥマル・レナ窟」の神々の彫刻です。」

「第21窟で描かれている、女神ドゥルガー（パールバティが戦いの神になった時の名称）と魔王マヒシャの戦いなど、数えきれない名画ばかりですよ。」
「はい。」

「魔王マヒシャと言えば、インド神話で神々を苦しめたアスラ（阿修羅）の首領である。」

「女神ドゥルガー（パールバティが戦いの神になった時の名称）と言えば、ヒンドゥー教の女神である。その名は「近づき難い者」を意味する。外見は優美で美しいが、実際は恐るべき戦いの女神である。10本あるいは18本の腕にそれぞれ神授の武器を持つ。神々の要請によって魔族と戦った。シヴァ神の神妃とされ、パールヴァティーと同一視された。」

「この『エローラ石窟群』は、3つの宗教の共存の場として珍しいですね。」
「そうですね。」

「それぞれの洞窟、寺院の像、レリーフが、他所のものよりも一段とすばらしいことなどから世界遺産となりましたよ。」
「わかりました。」

「多くの観光客が、日々感銘を受けていますよ。」
「なるほど。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～マハーバリプラムの建造物群～

「6～9世紀頃、インド南部の都市チェンナイにあるベンガル湾に面した町・マハーバリプラムに石彫寺院、石造寺院、海岸寺院などが、30以上造られましたよ。」
「はい。」

「マハーバリプラムの石造寺院と言えば、パッラヴァ朝のマーマッラ王やその後裔は、貿易港であったマハーバリプラム（マーマッラプラム）の海岸と岩山に数多くの寺院や彫刻を残した。インド中世建築発祥の地のひとつとしてきわめて重要であり、1985年には世界遺産の文化遺産に登録された。」

「マハーバリプラムと言えば、インド南部のタミル・ナードゥ州カーンチプラム県に所在し、ベンガル湾に臨むかつての港湾都市である。古名はマーマッラプラム。チェンナイ（マドラス）の南約60キロメートルに位置する。」

「ベンガル湾と言えば、インド洋の北東部分の湾である。ベンガル湾はほぼ三角形で、南方に開けた形となっている。東にマレー半島、西にインド亜大陸、北に名前の元となったインドの西ベンガル州およびバングラデシュに面している。南端はスリランカとアンダマン・ニコバル諸島連邦直轄地に面している。」

「インド南部の都市チェンナイと言えば、南インドの東側コロマンデル海岸沿いの、ベンガル湾に面するタミル・ナードゥ州の州都。インド有数の世界都市であり、人口は468万人。2011年の都市圏人口は867万人であり、同国第4位である。1996年にマドラス (Madras) から正式に改名された。」

「これらは、『マハーバリプラムの建造物群』として1984年に世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」

「堅い花崗岩で造られたこの建造物群は、当時のパッラヴァ王朝の下で造られたヒンドゥー教寺院群ですよ。」
「そうなんだ。」

「パッラヴァ王朝と言えば、3世紀後半から893年までカーンチプラムを首都として南インド東海岸（コロマンデル海岸）地方を支配したタミル系王朝である。」

「花崗岩と言えば、火成岩の一種である。流紋岩に対応する成分の深成岩である。石材としては御影石（みかげいし）とも呼ばれる。」

「マハーバリプラムは、海外交易の拠点として栄えていましたよ。」
「そうなんですか。」

「世界遺産『マハーバリプラムの建造物群』の代表的なものは、「ファイブ・ラタ」と呼ばれる5つの石彫寺院が立ち並ぶ遺跡ですよ。」
「はい。」

「ファイブ・ラタと呼ばれる5つの石彫寺院と言えば、世界遺産『マハーバリプラムの建造物群』の代表的なものは、「ファイブ・ラタ」と呼ばれる5つの石彫寺院が立ち並ぶ遺跡です。名前のラタとは、神の乗り物という意味があり、神の家である寺院がその象徴と考えられています。」

「名前のラタとは、神の乗り物という意味があり、神の家である寺院がその象徴と考えられていますよ。」
「はい。」

「その素晴らしい所は、大きな一枚岩を丸ごと削って、寺院を造っていることですよ。」
「大きな一枚岩からですか？」

「その証拠に、一部のラタは中まで彫られることなく、未完成のままになっていますよ。」
「そうなんだ。」

「5つのラタには、ヒンドゥー教の神話「マハーバーラタ」の主な登場人物の名前が付けられていますよ。」
「そうなんですか。」

「全て神様で、ドウラパディー・アルジェナ・ビーマ・ダルマラージャ・サハデーヴァの5人ですよ。」
「はい。」

「ダルマと言えば、ダルマ（聖法）は、カーマ（性愛）、アルタ（実利）とともに古来インドにおける人生の三大目的とされてきた。」

「サハデーヴァと言えば、インドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する人物である。クル王パーンドゥの妃マードリー（英語版）とアシュヴィン双神との間に生まれた子で、ナクラの双子の弟。」

「ダルマラージャと言えば、王権思想の一つタンマラーチャー（ダルマラージャ）の思想である。」

「アルジェナと言えば、ヒンドゥー教の聖典の1つである叙事詩『マハーバーラタ』に登場する英雄である。その名は「純粋な行為の実行者」を意味する。彼はパーンダヴァ兄弟5人のうちの3人目である。」

「ドウラパディーと言えば、インドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する女性である。パンチャーラ国の王ドルパダ（英語版）の娘で、ドゥリシュタデュムナ（英語版）と双子の兄妹。」

「「ガンガーの降下」という、大きな浮き彫り彫刻の壁画も、『マハーバリプラムの建造物群』の観光名所として有名なスポットですよ。」
「はい。」

「「ガンガーの降下」という大きな浮き彫り彫刻の壁画と言えば、「ガンガーの降下」という、大きな浮き彫り彫刻の壁画も、『マハーバリプラムの建造物群』の観光名所として有名なスポットです。この壁画は、高さ約9m、幅約30mの巨大な岩山に、同じく神話の一部を描いています。この大きさは、世界最大規模とも言われる程です。壁画の内容は、ガンガーとはガンジス川の事を指し、ヒンドゥー教では女神とされています。」

「この壁画は、高さ約9m、幅約30mの巨大な岩山に、同じく神話の一部を描いていますよ。」
「はい。」

「この大きさは、世界最大規模とも言われる程ですよ。」
「本当ですか？」

「壁画の内容は、ガンガーとはガンジス川の事を指し、ヒンドゥー教では女神とされていますよ。」
「はい。」

「ガンジス川と言えば、インド亜大陸北部を流れる大河である。全長は2525km、流域面積は1730000平方km（ブラマプトラ川水系を除けば840000平方km）。ヒンドゥー語やサンスクリットではガンガーと呼び、これはヒンドゥー教の川の女神の名でもある。」

「元々は、天空にあったガンガーがある日降下しましたよ。」
「はい。」

「その際、ヒンドゥー教2大神であるシヴァの髪をつたって降下した、というお話ですよ。」
「そうなんですか。」

「その他の壁画では、ライオンに乗ったドゥルガー（シヴァ神の妻・パールバティの戦いの神になった時の姿・呼称）が、マヒシャを倒す場面が「マヒシャマルディニー・マンダパ窟」に残されていますよ。」
「はい。」

「「クリシュナ・マンダップ」という2大神のもう一人・ヴィシュヌの8番目の化身を描いた壁画も「ヴァラーハ・マンダパ窟」に残されていますよ。」
「はい。」

「ヴィシュヌ神の第8の化身であるクリシュナと言えば、インド神話に登場する英雄で、ヒンドゥー教におけるヴィシュヌ神の第8の化身（アヴァターラ）である。ヴィシュヌに匹敵するほどの人気があり、ゴウディヤ・ヴァイシュナヴァ派では最高神に位置づけられ、他の全ての化身の起源とみなされている。」

「もう一か所、『マハーバリプラムの建造物群』で有名なのが「海岸寺院」ですね。」
「そうなんですか。」

「現在は2塔ですが、当初は3塔あったと言われていますよ。」
「そうなんですか。」

「石を積み上げる事で造られた石造寺院で、シヴァ神を祀っていますよ。」
「はい。」

「シヴァ神の乗り物である牛の石造が、ぐるっと寺院を囲んでいますよ。」
「はい。」

「インドのヒンドゥー教寺院は、それぞれ同じ宗教を崇拝しながらも、各王朝で少しずつ異なった趣向の寺院が建造されていますよ。」
「そうなんですか。」

「とても興味深く面白いポイントですよ。」
「はい。」

「『マハーバリプラムの建造物群』では、堅い花崗岩を選んで彫刻が彫られたり、寺院まで彫りぬいている点で、宗教心の強さが伝わってきますね。」
「そうですね。」

「花崗岩と言えば、火成岩の一種である。流紋岩に対応する成分の深成岩である。石材としては御影石（みかげいし）とも呼ばれる。」

「半永久的に残るよう造られており、今日でも多くの人が訪れる地となっていますよ。」
「わかりました。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～ゴアの教会群と修道院群～

「インド南部の港町であるゴアに、16世紀頃にはヨーロッパの街並みが広がっていましたよ。」
「はい。」

「インド南部の港町であるゴアと言えば、インド南部の港町ゴアは、１６世紀、ポルトガルのアジアにおける貿易拠点として繁栄を極めていました。人口３０万、そのヨーロッパ風の街並みの美しさから「東方一の貴婦人」と讃えられていました。」

「当時まだポルトガル領であったこの地域は、ポルトガルの首都・リスボンをモデルに作られ、「東方一の貴婦人」という異名もあった程でしたよ。」
「そうなんですか。」

「ポルトガルの首都・リスボンと言えば、ポルトガルの首都で同国最大の都市である。市域人口は547,631人を擁し、市域面積は84.8 km2 を占めている。リスボンの都市的地域は市域を越えて広がり、人口は300万人を超え、958 km2 を占めており欧州連合域内では11番目に大きな都市圏を形成している。」

「現在、その街並みは無くなってしまい、教会と修道院がいくつか残るだけになってしまいましたよ。」
「それは残念ですね。」

「建造物の残る一帯は、オールド・ゴアと呼ばれ、1986年に『ゴアの教会群と修道院群』として、世界遺産に登録されましたよ。」
「はい。」

「この『ゴアの教会群と修道院群』の重要なポイントは、アジアに欧風の建造物が残っている点だけではありませんよ。」
「何があるんですか？」

「実は、キリスト教イエズス会の宣教師であった、日本でもとてもなじみ深い「フランシスコ・ザビエル」の眠る場所でもありますよ。」
「本当ですか？」

「それが「ボム・ジェズ聖堂」です。」
「はい。」

「ボム・ジェズ聖堂と言えば、世界遺産の一つ、ボム・ジェズ聖堂には、ザビエルの棺が安置され、今もザビエルの顔を拝もうと世界中からキリスト教の信者たちがゴアを訪れます。」

「外装は赤茶色で地味な感じですが、内装は一変して豪華絢爛ですよ。」
「そうなんですか。」

「金箔で覆われた見事な造りになっていますよ。」
「凄いですね。」

「祭壇には、ザビエルの眠る棺が安置されていますよ。」
「はい。」

「驚くのが、その棺がガラス張りで、透けて中が見えてしまいますよ。」
「そうなんですか。」

「さらに、遺体の写真なども見る事ができ、ザビエルの顔を見る事も出来ますよ。」
「そうなんですか。」

「日本でなじみ深い、絵になっているザビエルに似ているか確認できますよ。」
「はい。」

「さらに、10年に1度、遺体は一般公開されますので、生で見る事も出来ますよ。」
「本当ですか？」

「ザビエルは、当時インドのカースト制度で苦しむ人々に、神の恩恵は等しく受ける事が出来るというキリスト教の教えを伝え、救ってきたと言われていますね。」
「そうなんだ。」

「インドのゴアを後にしたザビエルは、日本へ来日しましたよ。」
「そうなんだ。」

「その後中国へ向かう途中に病死しましたよ。」
「はい。」

「彼の遺体はゴアの地に再び戻され、現在も多くの人々が巡礼に訪れていますよ。」
「はい。」

「『ゴアの教会群と修道院群』には、他にも特徴のある建造物が残されていますよ。」
「そうなんですか。」

「「ボム・ジェム聖堂」の近くに、2つの白い教会と修道院がありますよ。」
「はい。」

「金箔で覆われた木彫り彫刻がある「アッシジ聖フランシス修道院教会」と、『ゴアの教会群と修道院群』の中で最も規模の大きい「セ・カテドラル」ですね。」
「はい。」

「セ・カテドラルと言えば、オールド・ゴアの中の最大の教会で、ポルトガルがゴアを征服した５２年後の１５６２年に着工され、完成したのは１６１９年である。」

「アッシジ聖フランシス修道院教会と言えば、イタリアのアッシジには「アッシージ、聖フランチェスコ聖堂と関連遺跡群」という世界遺産があります。「聖フランシス」はフランシスコ修道会の創始者で、聖フランシス教会は1881年のポルトガル統治時代に建てられた。」

「少し離れた場所には、規模は縮小されますが、ローマのサン・ピエトロ大聖堂をモデルにした「聖カジュタン教会」もキレイですね。」
「はい。」

「聖カジュタン教会と言えば、ローマのサン・ピエトロ大聖堂をモデルにした「聖カジュタン教会」もキレイです。」

「ローマのサン・ピエトロ大聖堂と言えば、バチカン市国南東端にあるカトリック教会の総本山である。サン・ピエトロは「聖ペトロ」の意味で、キリスト教の使徒ペトロ（ペテロ）のイタリア語読みに由来する。サン・ピエトロ大寺院、聖ペテロ大聖堂、セント‐ピーター寺院などと表記されることもある。」

「ほぼ壊滅状態の「聖アウグスティヌス教会」は、高さ約46mの巨大な鐘塔がギリギリ原型を留めていますよ。」
「そうなんだ。」

「聖アウグスティヌス教会と言えば、ほぼ壊滅状態の「聖アウグスティヌス教会」は、高さ約46mの巨大な鐘塔がギリギリ原型を留めています。」

「どの建造物へ訪れても、ここがインドだという事を忘れてしまう程ですね。」
「そうなんだ。」

「ヒンドゥー教やジャイナ教、仏教などの建築が多いインドですよ。」
「はい。」

「キリスト教の痕跡もあるというのが不思議な感じがしますね。」
「そうですね。」

「さらに、布教していたザビエルまでこの地に眠っています。」
「はい。」

「インドは、本当に多くの宗教や文化の影響をを受けている事がわかりますね。」
「そうですね。」

「このような欧風の建造物や文化が評価された世界遺産『ゴアの教会群と修道院群』では、一風変わったインドを見る事が出来ますね。」
「わかりました。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～カジュラーホーの建造物群～

「インド中部にあるカジュラーホの村には、1986年に世界遺産となった『カジュラーホの建造物群』が立ち並んでいますよ。」
「はい。」

「インド中部にあるカジュラーホの村と言えば、インド中部の村カジュラーホは、１０世紀から１２世紀にチャンデッラ王朝の都として栄えました。かつてはヒンドゥー教やジャイナ教の寺院が８５もあったと言われ、現在は約２０の寺院が残っています。」

「ヒンドゥー教・ジャイナ教の寺院が、およそ20ありますよ。」
「そうなんだ。」

「これら『カジュラーホの建造物群』は、10～12世紀にインド北部で栄えていたチャンデッラ王朝のもと建造されましたよ。」
「はい。」

「チャンデッラ王朝と言えば、中央インドの王朝で、チャンデーラ朝とも呼ばれる。10世紀ブンデールカンド地方(当時のジェージャーカ･ブクティ)に興り，プラティーハーラ朝に服属したが，その衰退にともない，10世紀末に独立して北インドの有力な王朝となった。」

「最盛期には、約85の寺院があり、金で覆われていたと言われていますよ。」
「それは凄いですね。」

「しかし、14世紀頃にイスラム教徒が侵攻してきました。」
「はい。」

「偶像崇拝を嫌う彼らにより、取り壊されてしまい現在の姿となりましたよ。」
「それは残念ですね。」

「『カジュラーホの建造物群』が評価された点は、各寺院の外壁に施された彫刻ですね。」
「はい。」

「全てが細かく隙間がない程無数にあり、同一のものはないと言われていますよ。」
「そうなんですか。」

「彫刻には動物や天女・アプサラも描かれていますよ。」
「はい。」

「天女・アプサラと言えば、神々を楽しませる天上界の踊り子（天女）で、人間界と自由に行き来できる能力を持つが神ではない。」

「しかし、ほとんどがミトゥナという男女が抱き合い、性愛を表現している彫刻が施されていますよ。」
「そうなんですか。」

「これは、古代インドの三大目的である「カーマ」に当たりますね。」
「はい。」

「古代インドの三大目的であるカーマと言えば、カーマ（性愛）は、ダルマ（聖法）、アルタ（実利）とともに古来インドにおける人生の三大目的とされてきた。ヴァーツヤーヤナはカーマの研究の重要性を説き、情欲を目的としたものではないことをことわっている。」

「極める事で解脱できると信じられていますよ。」
「はい。」

「他に「アルタ」「ダルマ」がありますよ。」
「それは何ですか？」

「アルタと言えば、ヒンドゥー教用語。ヒンドゥー教徒の人生の目標のひとつ。「実利」と訳される事が多い。サンスクリット語で「富」を意味する。仏教においても使われる。」

「世界遺産『カジュラーホの建造物群』の中で最も知られているのが、西側にある「カンダーリャ・マハーデーヴァ寺院」ですね。」
「はい。」

「カンダーリャ・マハーデーヴァ寺院と言えば、シヴァ神を奉っている寺院で、カジュラホでも最も壮麗で、彫刻装飾やその建物の構造、スケールの大きさのどれをとっても、チャンデラ朝寺院建築の絶頂を示している。」

「大本堂は、高さが約30m近くある巨大なものですよ。」
「大きいですね。」

「これは『カジュラーホの建造物群』の中で最大ですよ。」
「はい。」

「そこに拝堂や聖室などの塔がありますよ。」
「はい。」

「全体的に見ると、入口から大本堂に向かって段々と高くなっていく造りになっていますよ。」
「そうなんですか。」

「ヒンドゥー教2大神の一人・シヴァ神の住むヒマラヤ山脈を表していると言いますよ。」
「そうなんですか。」

「ヒマラヤ山脈と言えば、アジアの山脈で、地球上で最も標高の高い地域である。単にヒマラヤということもある。」

「この寺院は、広大な基壇の上にあります。」
「はい。」

「基壇には、シヴァ神の息子であるガネーシャ神（像の頭を持つ）も描かれていますよ。」
「はい。」

「シヴァ神の息子であるガネーシャ神（像の頭を持つ）と言えば、ヒンドクー教の神の一柱である。その名はサンスクリットで「群衆（ガナ）の主（イーシャ）」を意味する。同じ意味でガナパティとも呼ばれる。」

「その他にも、いくつか特徴的な寺院がありますよ。」
「そうなんですか。」

「「カンダーリャ・マハーデーヴァ寺院」の反対側の東側には、ヒンドゥー教の寺院だけでなく、ジャイナ教の寺院も見る事が出来ますよ。」
「そうなんですか。」

「特に有名なのが、「シャーンティナータ寺院」ですよ。」
「はい。」

「シャーンティナータ寺院と言えば、ジャイナ教の寺院である。」

「世界遺産『カジュラーホの建造物群』では珍しく、外壁には一切彫刻が施されていませんよ。」
「なぜですか？」

「茶色ばかりの寺院が多い中、この寺院は白い外壁なのでひと際目立ちますよ。」
「はい。」

「中には約4.5mの巨大な裸体の像や、足元には色彩豊かなタイルが敷き詰められていますよ。」
「はい。」

「ジャイナ教の寺院としては、他にも「パールシュヴァナータ寺院」、「アーディナータ寺院」などが観光スポットになっていますよ。」
「そうなんですか。」

「アーディナータ寺院と言えば、ジャイナ教寺院の特徴である、緻密で精細な彫刻が堂内一面に施された、まさにインドの至宝である。」

「パールシュヴァナータ寺院と言えば、チャンデラ朝時代に建てられたジャイナ教寺院の中で最も壮麗で、最大のものである。」

「『カジュラーホの建造物群』では、一風変わった性を強調した彫刻が特徴的ですよ。」
「どう変わっているのですか？」

「他所のヒンドゥー教寺院では見られないものを見る事が出来ますよ。」
「はい。」

「カーマを従順に信仰していたチャンデッラ王朝の心得が生み出したもので、当時の宗教に対する考え方がはっきりと伝わってくる貴重な建造物群ですよ。」
「わかりました。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～ハンピの建造物群～

「現在のインド南部一帯に当たる地域に、14～16世紀に栄えたビジャヤナガラ王国の首都・ハンピの町がありますね。」
「はい。」

「ハンピの町と言えば、インド南部カルナータカ州の村で、かつてのヴィジャヤナガル朝の首都であった。古名はヴィジャヤナガル（「勝利の都」）。現在は遺跡北側を流れる川の旧名で呼ばれる。」

「ビジャヤナガラ王国と言えば、ヴィジャヤナガル王国とは、14世紀初頭から17世紀中頃にいたるまで、カルナータカ州南部およびアーンドラ・プラデーシュ州南部、言い換えれば、トゥンガバドラー川およびクリシュナ川以南からコモリン岬に至る南インドを支配したヒンドゥー王朝（1336年 - 1649年）である。ヴィジャヤナガル朝とも呼ばれる。」

「この王国は、当時北から侵攻してきたイスラム教軍に対抗し、各地のヒンドゥー教徒が結束し作られた王朝ですよ。」
「はい。」

「約83もの多くのヒンドゥー教寺院や宮殿を残しましたよ。」
「多いですね。」

「しかし、1565年には、イスラム教国家ムガル帝国により滅ぼされてしまいましたよ。」
「それは残念でしたね。」

「イスラム教国家ムガル帝国と言えば、16世紀初頭から北インド、17世紀末から18世紀初頭にはインド南端部を除くインド亜大陸を支配し、19世紀後半まで存続したトルコ系イスラーム王朝（1526年 - 1858年）である。首都はデリー、アーグラなど。ムガル朝とも呼ばれる。」

「寺院のすばらしい彫刻や中世最後のヒンドゥー教国家の文化などが残されていることが認められ、1986年に『ハンピの建造物群』という名称で世界遺産になりましたよ。」
「はい。」

「『ハンピの建造物群』は、大きく「寺院区」と「宮殿区」に分ける事が出来ますよ。」
「はい。」

「特に有名なのは、「寺院区」にあるヴィルパークシャ寺院ですよ。」
「そうなんですか。」

「ヴィルパークシャ寺院と言えば、トゥンガバドラー川沿いにあるヴィルパークシャ寺院（英語版）はシヴァ神に献じられたもので、規模が大きく、南インドに特徴的な寺院建築を伝える現役の寺院である。」

「白い塔門が特徴で、大きくそびえ立つ『ハンピの建造物群』で最高規模の寺院ですよ。」
「はい。」

「その高さは約50mもあり、遠くからでも白い巨塔を発見する事が出来ますよ。」
「そうなんだ。」

「ランドマーク的存在となっていますよ。」
「はい。」

「同じく有名なのが、ヴィッタラ寺院ですよ。」
「はい。」

「ヴィッタラ寺院と言えば、ハンピ北東端に所在するヴィッタラ寺院（英語版）は最大規模をほこり、56本の石柱があり、広い列柱ホールの礼拝堂（マンタバ（英語版））をそなえている。」

「寺院の中央あたりにある4つの車輪の付いた建物には、ヒンドゥー教2大神の一人であるヴィシュヌの乗り物であった「神鳥」の像がありますよ。」
「そうなんだ。」

「他にも、約56本のたたくと音の鳴る石柱があり、ヤーリ（ライオンと象の合体した神様）が彫られていますよ。」
「はい。」

「ヤーリ（ライオンと象の合体した神様）と言えば、ヴィッタラ寺院はトゥンガバドラ川のほとりにある寺院で、15世紀に建てられた。張り出した前殿の56本の柱にはヤーリ（獅子と象が合体した神話上の生き物）の立像が彫刻されている。」

「『ハンピの建造物群』の宮殿区と呼ばれる地区には、宮殿の他、浴場など王家の生活に関連する施設なども残されていますよ。」
「はい。」

「ロータス・マハル、エレファント・ステイブル（象の厩舎）は、珍しいヒンドゥー＆イスラム建築で作られていますよ。」
「そうなんですか。」

「エレファント・ステイブル（象の厩舎）と言えば、『ハンピの建造物群』の宮殿区と呼ばれる地区には、宮殿の他、浴場など王家の生活に関連する施設なども残されています。ロータス・マハル、エレファント・ステイブル（象の厩舎）は、珍しいヒンドゥー＆イスラム建築で作られています。屋根がヒンドゥー式で、柱がイスラム建築となっています。」

「ロータス・マハルと言えば、ハンピにあるもうひとつの見所は、王宮地区にあるロータス・マハルと呼ばれる２階建ての小さな建造物である。ヒンドゥー教とイスラム教がバランス良く調和した繊細なデザインの宮殿である。ドーム型の天井に蓮の蕾が彫られていることから、ロータス・マハルと呼ばれている。」

「屋根がヒンドゥー式で、柱がイスラム建築となっています。」
「そうなんですか。」

「その他には、女王の浴場、王妃の宮殿跡、ラーマ神（ヒンドゥー教2大神の一人・ヴィシュヌの第7番目の化身）を祀るハザーラ・ラーマ寺院、クリシュナ寺院（ヴィシュヌの第8番目の化身）などがありますよ。」
「いろいろありますね。」

「クリシュナ寺院と言えば、17世紀のシディナラシン王の時代に建てられたと言われるクリシュナ寺院には、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の化身であるクリシュナが祀られています。」

「ハザーラ・ラーマ寺院と言えば、ラーマチャンドラ寺院とも呼ばれ、ハンピの宮廷地区の中ほどにあり、デーヴァラーヤ1世（在位1406～1424年）がラーマに献じた寺院である。」

「王妃の宮殿跡と言えば、ハンピの宮廷地区には王や王妃の宮殿跡が多数点在している。第一の見所となっているのが蓮の宮殿、ロータス・マハルで、クローバーを思わせる多心アーチや石造りの多層屋根はアグラにあるイスラム都市遺跡「ファテーブル・シークリー」（世界遺産）と似ており、イスラム建築の影響を色濃く感じさせる。」

「女王の浴場と言えば、エチオピアの北部に位置するアクスムはアクスム王国の都であった。林立するオベリスク、「シェバの女王の浴場」と呼ばれる貯水池、「シェバの女王の宮殿」とされる宮殿跡、由緒正しい教会など名所旧跡が多い。」

「『ハンピの建造物群』は、これほど多くの寺院を残し、繊細な彫刻を多く持っていますよ。」
「はい。」

「その広大さゆえに、1999年に危機遺産リストに登録されましたよ。」
「どういうことですか？」

「理由は、近くを流れる川を渡るための鉄橋造りですよ。」
「はい。」

「世界遺産のこれら遺跡の内部に鉄橋を造り、渡ろうという開発破壊が推し進められそうになりましたよ。」
「はい。」

「そこで、ユネスコが事態を重く考え、危機遺産としました。」
「なるほど。」

「その後インドでは、遺産と開発の共存をテーマに試行錯誤し、2006年には危機遺産リストから外れる事に成功しましたよ。」
「それは良かったですね。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～パッタダカルの寺院群～

「インド中南部にあるパッタダカルの町には、1987年に世界遺産に登録された『パッタダカルの寺院群』がありますよ。」
「はい。」

「パッタダカルの町と言えば、インド中南部の町パッタダカルには、６世紀から８世紀に作られたヒンドゥー教の寺院が建ち並び、かつてデカン高原を支配したチャールキヤ朝の歴代の王たちが、ここで戴冠式を行ってきました。」

「6～8世紀頃にあったヒンドゥー教国家チャールキヤ王朝が、この地を歴代王たちの戴冠式の町として定め、いくつかのヒンドゥー教寺院を建立しましたよ。」
「そうなんだ。」

「チャールキヤ王朝と言えば、古代から中世にかけてのインドの王朝で、3系に分けられる。①6世紀から8世紀にかけて西部デカンを中心とする前期チャールキヤ朝、②10世紀から12世紀にかけての西部デカンを中心とする後期チャールキヤ朝、③バーダーミのチャールキヤ朝から分かれ、7世紀から11世紀まで東部アーンドラ地方を支配した東チャールキヤ朝がある。」

「ヒンドゥー教国家チャールキヤ王朝と言えば、インド中南部にあるパッタダカルの町には、1987年に世界遺産に登録された『パッタダカルの寺院群』があります。6～8世紀頃にあったヒンドゥー教国家チャールキヤ王朝が、この地を歴代王たちの戴冠式の町として定め、いくつかのヒンドゥー教寺院を建立しました。」

「『パッタダカルの寺院群』には、同じヒンドゥー教寺院でも2種類のものが混合しているのが最大の特徴ですよ。」
「そうなんですか。」

「ヒンドゥー教寺院には、造られた地方によって、「北方型」と「南方型」に分けられていますよ。」
「どう違うんですか？」

「見分けるポイントは塔頂部の造りですよ。」
「はい。」

「まず、「北方型」は、砲弾のような形をしていますよ。」
「はい。」

「一方、「南方型」は、段々になっていてピラミッドのような形をしていますよ。」
「そうなんですか。」

「なお、『パッタダカルの寺院群』では、2種類の寺院が混合していますよ。」
「はい。」

「それは、長年対立していたパッラヴァ王朝に勝利した際、王が彼らの建築技術に感銘しましたよ。」
「はい。」

「そして、王が、グンダという建築家を初め、多くのパッラヴァ王朝の石工職人や彫刻家を招き、『パッタダカルの寺院群』を建立させたためですよ。」
「そうなんだ。」

「グンダという建築家と言えば、パッタダカルで最大規模をほこるヴィルーパークシャ寺院は8世紀にパッラヴァ朝との戦いに勝利して凱旋したヴィクラマディーティヤ2世の栄光を記念するため、王妃ローカ・マハーデーヴィの命で造営され、グンダが設計を担当した寺院である。」

「したがって、パッラヴァ王朝の首都・カーンチープラムにある「カイサーサナータ寺院」、「マハーバリプラム」の石造寺院、石彫寺院などの影響を受けていますよ。」
「はい。」

「カイサーサナータ寺院と言えば、『パッタダカルの寺院群』はパッラヴァ王朝の首都・カーンチープラムにある「カイサーサナータ寺院」、「マハーバリプラム」の石造寺院、石彫寺院などの影響を受けています。」

「パッラヴァ王朝の首都・カーンチープラムと言えば、インドのタミル・ナードゥ州にある古都で、現在はカーンチープラム県の県庁所在地である。カーンチープラムは古くはパッラヴァ朝の首都であり、14世紀から15世紀にかけては南インドのヴィジャヤナガル王国とデカンのバフマニー朝の係争地であった。」

「世界遺産『パッタダカルの寺院群』の代表的な寺院は、「ヴィルパークシャー寺院」という南方型の寺院ですよ。」
「はい。」

「この寺院は、チャールキヤ王朝ヴィクラマーディチャ2世の妻ローカ・マハーデーヴァが、パッラヴァ王朝との戦いで勝利した記念に建立したものですよ。」
「そうなんだ。」

「ローカ・マハーデーヴァと言えば、チャールキヤ王朝ヴィクラマーディチャ2世の妻である。」

「ヴィクラマーディチャ2世と言えば、世界遺産『パッタダカルの寺院群』の代表的な寺院は、「ヴィルパークシャー寺院」は、チャールキヤ王朝ヴィクラマーディチャ2世の妻ローカ・マハーデーヴァが、パッラヴァ王朝との戦いで勝利した記念に建立したものです。」

「破壊と創造の神であるシヴァ神を祀り、壁面にはシヴァ神と悪魔が戦い勝利を収める絵が彫られていますよ。」
「はい。」

「ヴァーマナというヒンドゥー教2大神のもう一人ヴィシュヌの第5の化身が大きく足を開き、天界を踏みつけている絵なども、観光ポイントとなっていますよ。」
「そうなんですか。」

「ヴァーマナというヒンドゥー教2大神のもう一人ヴィシュヌの第5の化身と言えば、世界遺産『パッタダカルの寺院群』の代表的な寺院は、「ヴィルパークシャー寺院」という南方型の寺院です。ヴァーマナというヒンドゥー教2大神のもう一人ヴィシュヌの第5の化身が大きく足を開き、天界を踏みつけている絵なども、観光ポイントとなっています。」

「「ヴィルパークシャー寺院」のすぐ後ろにあるのが、「マリカールジュナ寺院」ですよ。」
「はい。」

「マリカールジュナ寺院と言えば、第2王妃がバッラバ朝に対する戦勝記念に建てた寺院で、第1王妃が建てたヴィルバークシャ寺院より少し小さい。740年代の造立、南方型。」

「同じ理由で第二夫人により建立されましたよ。」
「そうなんですか。」

「なお、「ヴィルパークシャー寺院」とほぼ同じ形の寺院で、少し縮小した大きさになっていますよ。」
「はい。」

「寺院内部には、ヴィシュヌ神の第8の化身であるクリシュナの幼児期が描かれていたり、ヒンドゥー教神話の一つ乳海かく拌の場面が描かれていますよ。」
「はい。」

「ヒンドゥー教神話の一つ乳海かく拌と言えば、「乳海撹拌」は、古代インドの大叙事詩『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』にあらわれるヒンドゥー教の天地創世神話である。」

「このシーンは、神々と魔人が協力して大蛇を引っ張る事で、深海から不老不死の薬がわき出るというストーリーになっていますよ。」
「そうなんですか。」

「その他の寺院で観光スポットになっているのは、「バーバナータ寺院」ですね。」
「はい。」

「バーバナータ寺院と言えば、『パッタダカルの寺院群』の中で、観光スポットになっている「バーバナータ寺院」では、壁面や柱だけではなく、天井にまで彫刻が彫られているのが特徴です。主に神話のマハーバーラタ、ラーマーヤナのストーリーを描いています。」

「この寺院では、壁面や柱だけではなく、天井にまで彫刻が彫られているのが特徴ですね。」
「はい。」

「主に神話のマハーバーラタ、ラーマーヤナのストーリーを描いていますね。」
「そうなんですか。」

「『パッタダカルの寺院群』は、インドの世界遺産の中でも少しマイナーな観光地ではありますよ。」
「はい。」

「しかし、インドの王朝の移り変わりにおける文化の融合などを見ることができる、貴重な遺産となっていますね。」
「わかりました。」

インドの世界遺産と三大石窟群やインド美術～エレファンタ石窟群～

「インド西部、ムンバイから約10km沖に浮かぶエレファンタ島という小島に、1987年に世界遺産となった『エレファンタ石窟群』がありますよ。」
「はい。」

「エレファンタ島と言えば、エレファンタ石窟群は、ムンバイ近海のアラビア海に浮かぶエレファンタ島にある石窟寺院のことである。シヴァ信仰の中心地であり、グプタ朝時代に建設が始まったとされる。」

「インド西部のムンバイと言えば、ムンバイはインドの経済と芸能の中心で、政治の中心であるデリーと国としての機能をわけている。かつて栄えた東インド会社の商業伝統を受け継ぐインド随一の国際貿易都市で、現在の西インドの玄関都市である。17世紀のイギリス植民地時代から長らく「ボンベイ」の名で知られてきたが、1995年にインド政府は元々の地名であるムンバイに名称を戻した。」

「この『エレファンタ石窟群』は、島にある、高さ約200m程の岩山の頂上あたりに、5～8世紀頃ここで修行をしていたヒンドゥー教僧侶たちによって造られましたよ。」
「そうなんですか。」

「エレファンタ島には、船で行く事ができますよ。」
「はい。」

「海に向けて開かれている「インド門」という珍しい門も、見る事が出来ますよ。」
「はい。」

「この『エレファンタ石窟群』は、全部で7つの石窟寺院が残されていますよ。」
「はい。」

「保存状態の良いものは、第1窟の一か所のみですよ。」
「そうなんですか。」

「その他は、17世紀頃に上陸したポルトガル人たちの銃の練習などにより、破壊されてしまったようですね。」
「そうなんですか。」

「その第1窟の見所は、多数の岩壁彫刻ですね。」
「はい。」

「この岩窟寺院は、ヒンドゥー教においての2大神の一人であるシヴァ神を祀っているため、ほとんどの彫刻はシヴァ神を描いていますよ。」
「そうなんですか。」

「中でも、『エレファンタ石窟群』には、ヒンドゥー教彫刻最高傑作とも言われている「3つの顔を持つシヴァ神」の胸像がありますよ。」
「はい。」

「高さ約5.5mという大きさで、第1窟の最奥の壁に彫られていますよ。」
「はい。」

「これは、シヴァ神が破壊と創造の神であることを表していますね。」
「はい。」

「ヒンドゥー教では、死後の世界のような終末思想はありませんよ。」
「そうなんですか。」

「代わりに、全てのものは、破壊と創造を繰り返すと考えられていますよ。」
「はい。」

「向かって左の顔は破壊を、右の顔は想像を、そして中央が維持・調和を表していますよ。」
「そうなんですか。」

「シヴァ神が、多神教であるヒンドゥー教において、どれほど重要な神樣なのかがしっかり伝わってきますね。」
「はい。」

「この壁画以外でも、有名なものがいくつか残されていますよ。」
「そうなんですか。」

「「3つの顔を持つシヴァ神」の横には、「半男半女」の壁画がありますよ。」
「どういうものですか？」

「向かって右半身はシヴァ神、左半身はシヴァ神の妻パールバティを表しているようですね。」
「はい。」

「『エレファンタ石窟群』の第1窟には、3つの入り口があり、北側の入り口には「踊るシヴァ神」（ナタラージャ）が描かれていますよ。」
「そうなんですか。」

「踊るシヴァ神（ナタラージャ）と言えば、〈舞踏家の王〉の意で，ヒンドゥー教の主神の一つであるシバ神の別称である。ナテーシュバラとも呼ばれる。シバ神は演劇および舞踏の創始者，守護神とみなされ，現在のインド舞踊に際しても祈念され，片足を上げて踊るシバ神のポーズが演じられる。」

「壁画以外には、シヴァ神の象徴である「リンガ」を祀った、四角い小部屋のようなものがありますよ。」
「はい。」

「シヴァ神の象徴である「リンガ」と言えば、ヒンドゥー教のシヴァの寺院では、神体としてシヴァリンガがシンボルとして安置されており、それが礼拝の対象になっている。リンガは男性器の象徴である。」

「入り口には「ドゥヴァラパーラ」という守護神が立っている珍しいものですよ。」
「そうなんですか。」

「「ドゥヴァラパーラ」という守護神と言えば、『エレファンタ石窟群』の第1窟には、3つの入り口があり、北側の入り口には「踊るシヴァ神」（ナタラージャ）が描かれています。壁画以外には、シヴァ神の象徴である「リンガ」を祀った、四角い小部屋のようなものがあります。入り口には「ドゥヴァラパーラ」という守護神が立っている珍しいものです。」

「この『エレファンタ石窟群』は、同じインドの世界遺産である『エローラ石窟群』のヒンドゥー教寺院の一部にとても似ていることでも知られていますよ。」
「そうなんですか。」

「どちらもハッキリとした建造時期が不明なため、どちらが先に出来たのかは分かりませんが、影響し合っていることは確かですね。」
「はい。」

「観光する際には、この二か所を見比べるのも面白いのでおススメですよ。」
「わかりました。」

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